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(青黄/パロ)
※青峰っちが既婚(つまり不倫)

セックスをするのは、いつも手狭な俺のベッドだ。
当然のことだ。
奥さんのいる家でしようと思うほど、俺も彼も愚かではない。
…いや、充分愚かだろうか。

高校時代から愛用しているシングルベッドは、名前の通り一人用だ。
当然、四捨五入すれば2メートルに達してしまうような男二人の激しい運動用には作られていないわけである。
酷使しすぎたせいか、最近では一人眠ろうとするだけでも、不気味な音を立てる。

「ベッド、買い換えろよ」
青峰は、来るたびにそう言う。
「狭いし、変な音するし」
「金無ぇっスよ」
「嘘つけ、稼いでんだろモデルさんよ」
いつも、そんな軽口から始まる。
最中だけは酷く甘く、それゆえに残酷な関係。
…俺は、いつも言えない。
もしベッドを買い換えれば、あなたは隣で朝を迎えてくれるのかと。
だって、答えは知っている。
どれだけ大きなベッドを買おうと、朝日が昇る時間には、一度だけ訪れたことのあるあの家で、あの人は最近生まれた娘を挟んで親子三人川の字だ。

時計に目をやる。
午前二時、彼が帰って一時間ほど経っただろうか。
ここから歩いて三十分ほどの場所で、彼はそろそろベッドに潜り込む。
俺の気持ちなど知らず、知ろうとも思わずに。
それでいいのだ、別に。
彼に多くは求めない。
虚しくなるだけだから。
彼が俺の願いを叶えないことくらい、とっくに知っている。

寝転がる。
ベッドが不快な音を立て、俺は耳を塞ぐ。
…先程まで俺が上げていた嬌声と、どちらが不快な音だろうかと思いながら。

やはり、ベッドを買い換えようか。
ふと、そんな気持ちになった。

だって、一人で過ごすこのベッドは、あまりにも広い。


single bed

20120714〜20121010
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