(榛→(←)準) 「おーい、準太ー」 「んー…」 「こんな所で寝たら風邪引くぞー」 「んー…」 「ベッド貸してやっから」 「んー…」 「…俺のこと好き?」 「んー…」 よっしゃ、準太に好きって言われた! …じゃなくて。 高瀬準太に片想いを始めて、2ヶ月。 今日は初めて、準太がうちに遊びに来てくれた。 のだが。 最初は楽しくゲームしたり漫画読んだりしていたのだが、疲れていたのか段々瞼が落ち始め。 菓子を取りに行ってる間に、どうやら完全に寝入ってしまったらしい。 仮にも強豪校のエースを床に寝かせておくわけにはいかないので、起こすのは諦めて持ち上げる。 「…んー」 無意識なのか、服の裾を握られる。 なんだこの可愛いやつは! 俺をどうしたいんだ! …そう、だからこれはこいつが悪い。 フカコーリョクってやつ? 俺のベッドですやすや寝息を立てる、その可愛い唇に。 自分の唇を、一瞬だけ触れさせた。 …さて俺はこいつが起きたとき、平静を保っていられるだろうか。 寝顔を見ているのがだんだん恥ずかしくなって、起こさないように静かに部屋を出た。 …だから、知らない。 「…堂々としろよ、ばーか」 準太が顔を赤くして、そんなふうに呟いたことを、俺は知らない。 sleeping beauty 20120521〜20120601 |