(榛準) 突然だが、俺は高瀬準太が大好きだ。 俺は男で準太も男だが、友達としてとかいうそんな生ぬるい好きではない。いや、準太はいいやつだから友達としてももちろん及第点だが。 率直に言うなら、抱き合ってキスしてそれ以上のこともするようなそんな好きだ。 練習試合で初めて会って、同い年の投手同士ということで少しずつ仲良くなっていって、準太のいいところを知るにつれ好きになっていって。 そして奇跡的に三ヶ月前、俺の玉砕覚悟の告白に、あいつは笑いながら頷いてくれた。 つまり俺と準太は現在、恋人同士。俺多分世界一幸せ。 そんな俺、榛名元希には幸福になれる場所がある。 まぁ、準太といればどこでも等しく幸福なのだが。 準太の家も好きだし、俺の家もなかなか。待ち合わせする駅前とか、公園とか、ファミレスや河原も準太がいれば天国だ。 だけど、それ以上に幸福でたまらない場所。 初めてあいつを見た場所。きっと、あそこからこの恋は始まっていた。 「これより、桐青高校対武蔵野第一高校の練習試合を始めます──」 桐青高校グラウンド。同じ場所に立つ。 正面に立って目が合うと、あいつは少しだけ笑った。 そして、口パク。 『負けねぇからな』 俺も、と口だけで返して、笑う。 俺と準太だからある、特別な時間。 この場所に共に立てること。俺の、世界一の幸福。 世界一幸福な場所 |