Lovers.Holic



暁色の日が差し込むサッカー部部室。長かったエイリア学園との戦いも終わり、穏やかな日々が流れていた。
他の部員はすでに下校しており、室内には二つの影が寄り添いあっていた。



「か…風丸?どうしたの?」

「…………」



ただ無言で、机に座る深雪をもたれかかる様に正面から抱き締める。
長い前髪と、頭を肩へ押しつける様に寄せられているせいで表情は見えないが、互いの鼓動だけが響いて反響し合う。

とりあえずと背中に片手を回したが、相変わらず風丸の意図が読めなくて困惑する。
何よりお互いの体が触れている事が、今一番気恥ずかしかった。


どうしようか、と頭を悩ませていると、腕の中だった風丸が動いた。




「かぜま……っんっ」




急に動いた風丸は、押し当てる様に唇を重ねてきた。
すぐ離れたかと思うと、また触れるだけのキスを落とす。
二回、三回、四回…と、何度も、秒針が時を刻むように唇が重なる。
その度に口が塞がって息が止まり、破裂しそうな鼓動と相乗して本能的に酸素を求め息が上がる。




「っはぁ…はぁ…」




それを察知してくれたのか、はたまた別の理由か、風丸は降り注いだ行為に終止符をうった。
その代わりなのか、再び真っ正面から抱き締められる形となった。




「風丸…」

「…怖いんだ」




宥めるように呼び掛ければ、そう呟いて抱き締める力が増す。
私は何も言わず、風丸の言葉に耳を傾けた。




「怖いんだ…。俺は強くないから、いつか名前が離れていくんじゃないかって…」

「…風丸……」




切に願う様に囁く彼が、キャラバンを去った時の彼と重なって見えた。
私は離さないように、風丸を抱え込むように腕を回す。




「大丈夫…弱い所は、支えるから。風丸の事、大好きだから」




何も心配しないでと言うように語りかける彼女に、彼は穏やかな表情で礼を告げた。





Lovers.Holic
(依存し合ってるのかも、知れない)



* * *

珍しくシリアスな感じの文書きました…
とりあえず依存しあってる感じの二人が書きたくて。今更ですが重いわ!
風丸君はメンタル面で非常に支えてあげたくなります。そんな感じも書きたかった。

(10/03/20)



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