弟は帰ってくるなり荒々しく自室へ篭った。ただいまも無かった。いくら生意気な弟でも今までそんなことは無かった。中学生の弟は何があったなどもちろん教えてくれない。ただ、毎日を詰まらなそうに過ごすようになったのはその日からである。
何があったのか詳しく聞いたのはそれから随分後だ。例の幼馴染ちゃんが悲しそうな顔をして私に話してくれた。レギュラーは練習に出なくても良くなったこと、弟には自分と対等なプレイヤーがいないこと、バスケが、つまらないこと。ショックだった。あんなに毎日バスケ漬けだった弟が、今では試合でしかバスケをしていないことが。そして、そんな状態を知らなかったことが、本当にショックだった。幼馴染ちゃんは「どうしていいかわからない」と言って泣いた。部員がみんなバラバラになってしまった。彼女の泣き顔を見るのは辛い。だが、私にしてあげられることが無いのが事実なのだ。
そうして、弟と幼馴染ちゃんは中学を卒業し、高校へと進学した。


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