弟は小学生のころからバスケに夢中だった。それは中学に入ってからも変わらないようで、中学時代はバスケ漬けの生活を送っていた。そのころ私は可愛い幼馴染が義妹になることを神に祈るだけの高校生活を送っていた。青春などなかった。
弟はバスケに、幼馴染ちゃんは別の男の子に恋をしてしまったらしい。私に相談してきたときは卒倒するかと思ったほどだ。それほどに、彼女は弟と結婚するものだと妄信していた。彼女からの期待の篭った視線に答えられるほど私は女子高生を満喫していない。当たり障りない、少女漫画のようなアドバイスしかしてあげられなかったのは本当に悔いて止まない。
彼らが中学3年生になるころ、弟はバスケが今まで以上に調子が良いらしい。試合は自分だけで勝てる。誰も自分のスピードに追いつかないと珍しく私に嬉しそうに報告してきたことをよく覚えている。その時にはすでに私よりも一回りもふたまわり大きな身体を持った弟に、私は「そうかそれは良かったね。」としか言ってやれなかった。
弟の異変に気付いたのはそれから間も無くのことだった。


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