小説 | ナノ

グラン


過去捏造
















―流れる星に、小さな願い、




流れ星きらり






きらり。流れ星が、流れた。
視界の端に捕らえただけで、しっかり見たわけじゃないのだけど。
つい気になってしまって、研究施設へ入らず、そのまま見晴らしの良さそうなところへ向かう。
ひゅう、と髪を乱す風は冷たい。
外に出ていたため羽織っていたジャケットのポケットに手を突っ込んで、首を竦めた。
このくらいで、暖かくなるわけはないのだけど。
さっきよりも強い風が吹いて、ふるり、と身体が震える。
はあ、とゆっくり息を吐き出した。
さすがに白くはないけれど、あまり長くいたら風邪をひいてしまうだろうか。
つい、と上を見上げれば、満天の、とは言えないけど、零れるような、星空。
見上げたまま歩き、首が痛くなってきたところでその場に仰向けに寝転んだ。
木も少なく、視界に写るのは、星空だけ。
強く輝く星、淡く輝く星。
星空を見上げるのは、ずいぶんとひさしぶりな気がした。
いつだったか、みんなで星を見たことがあったな。
今でも大人にはほど遠いけれど、今よりもずっと幼い頃。
夜にこっそりと3人で部屋を抜け出して、右手には少し体温の低い、左手には体温の高い、小さな手をしっかりと繋いで。
やはり視界を何も遮らないところで、星空を、見上げた。
星の名前なんて知らなかったし、どこに何があるのかなんてことも、全然知らなかった。
今でも有名なごく一部しか、知らないけれど。
それでも、3人で星を眺めたんだ。
流れ星を見つけたときは3人ではしゃいだりして。
すっかり冷え切った身体で戻ったら、抜け出したこともばれてて、怒られたんだっけ。
実際にはそんなに昔のことでもないのだろうけど、もう、ずいぶんと昔のように感じるよ。
今では星空を眺めるどころか、一緒に話だってしない。
言葉を交わすことはあっても、それは事務的な、用件を告げるだけのものだ。
嫌かと問われれば、嫌だと答える。
前のように戻りたいか、と問われれば間違えなく頷く。
では、後悔しているのか、と問われれば。俺は首を振るしかない。
後悔はしていないのだから。
後悔はできないのだから。
俺は、父さんのためなら、なんだってすると決めたのだから。
その結果、あのふたりと以前のような関係に戻れなかったとしても。

それでも、もし。
またあの頃みたいに並んで星空を見上げることができるなら。
やっぱり手を繋いで眺めたいと、思ってしまうんだ。

「ねえ、晴矢、風介、」

また、一緒に星が見たいよ。
俺の呟きに合わせたかのように、星がひとつ、きらりと輝きながら落ちていった。


















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10.10.11.はマスターランク3opの日!
ということでマスターランク時代の話のはずが、なんというかグランさんの独り言…


11月18日には3期3topで続編みたいなのが書けたらいいなあと思ったいたり


10.10.11.
















※裏話
今 イヒ牛勿言吾(原作)にちょっとハマっていまして
ひたぎちゃんとこよみくんが星を見に行くシーンにきゅんときたんですね
その後で君の知らない物語聴きながら書いたものです

アニメはちょっとぽかーんでしたが原作はほんとに面白かったです









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