バーンとガゼル ※パラレル ※色々注意 ※突然はじまる ―あなたがいれば、 白夜を、歩く 「お、おれ、おれが…っ、」 がたがたと震える手に握り締められた銀色のそれは、鈍く光を反射していた。 べったりと付着したアカが、時折滴り落ちる。 バーンの目の前に転がる、数分前まで意思を持って動いていたものは、今やぴくりとも動かない無機物だった。 金色の瞳は大きく開かれたまま、床に転がる無機物と、手の中の銀色を見つめていた。 はあはあと喘ぐような自分の荒い息がやけに大きく聞こえる。 「…バーン、」 か細い声にはじかれたように顔をあげると、ガゼルが自分の目の前に立っていた。 歳のころは同じであるのに、その身体は異様に細い。 ガゼルはバーンと、床に転がる無機物の間に座りこむと、銀色を握り締めるバーンの手に、自分の手をそっと重ねた。 「…いつか、殺してやろうと思っていた、」 静かなその声は硬く、しかしどこか凛とした強さを秘めていた。 ガゼルは重ねた手を見つめたまま、言葉を紡ぐ。 「この男だけは、殺してやると、思っていた、」 バーンの肩がびくりと跳ねた。 それは、今まさにバーンが行ったことだ。 「だから、」 ガゼルは未だ力の抜けないバーンの指を一本づつ丁寧に動かし、その手に握り締められたままだった銀色から離した。 そして銀色をしっかりと自分の両手で握り締める。 「だから、殺したのは、私だよ、」 そう言って、微かに口元に笑みを浮かべた。 首を横に振ったバーンの瞳から、ぼろりと涙が零れる。 「大丈夫、大丈夫だから、」 ガゼルが細い腕を伸ばし、宥めるようにバーンの紅髪をそっと撫でた。 バーンはまた首を振って、両腕を伸ばし、自分の髪を撫でるガゼルの身体を抱きしめた。 ガゼルの手から銀色が滑り落ち、かつん、と床にぶつかる音が聞こえた。 「バーン…?」 「逃げよう、ガゼル、」 声も腕も震わせて、それでもバーンはガゼルをきつく抱き締めた。 「絶対、絶対俺が守るから、」 零れ続ける涙が、ガゼルの服をしっとりと濡らしていく。 「ガゼルのことは、俺が、守るから…っ、」 「バーン…、」 ガゼルの声が微かに震えて、蒼碧の瞳から、ぽろりと涙が零れた。 ---------- …続かない。 白/夜/行のdrmを見て。 後悔はしてませんが反省はしてます。 後でちょっといじるかも… 10.08.01. 蛇足↓ ガゼルはある男から継続的に暴行を受けていました。 それを知ったバーンはなんとかガゼルを助けようとがんばります、が、なかなかうまくいきません。 でもぼろぼろになったガゼルをこれ以上見ていられなくて、衝動的に男を殺してしまいました。 この後バーンとガゼルは証拠を隠滅して愛の逃避行です。 とかそんなイメージ。 すいません、drmの某シーンを再現したかっただけなんです… |