綱海と涼野 ※雷門引き抜き後 ―青い海、白い砂浜、眩しいのは、 いちご味の氷 「どうだ涼野!沖縄の海はキレイだろー!」 「…あつい、」 テレビでアイスクリームの特集を見て、沖縄限定のアイスを食べてみたい、そう涼野が呟いたのをどこからともなく聞きつけた綱海は、それなら本場で食おうぜ、と有無を言わさず涼野を連れて沖縄へ向かった。 沖縄の海を見たことあるか、と問われ首を横に振った涼野を、それならまずは、と海へ連れてきていた。 水中が見えるほどに澄んだ碧い海と、きらりと眩しい砂浜。雲もほとんどないほどの晴天で、綱海は満足げに笑った。 「いやー、バッチリだな!今日も良い波に乗れそうだぜ!」 お前もやってみるか?とすぐ後ろにいる涼野を振り返ると、涼野は砂浜の上にぺたりと座りこんでいた。 「おい!どうした涼野!」 綱海が慌ててしゃがみこみ、涼野の顔を覗き込むと、涼野はあつい、と呟き綱海にその細い身体を預けた。 「お前暑いのダメだったのかー、」 悪かったな、と笑う綱海をちらりと睨み、涼野は自分の目の前に置かれたかき氷を口に運んだ。 口内で氷が溶け、ほんのり甘いイチゴシロップと、ひんやりとした冷気が身体を巡る。 暑さに耐えられなかった涼野は、綱海の行きつけの海の家へ運ばれ、とりあえずかき氷でも、と御馳走になっていた。 「うまいか?」 にぃ、と笑う綱海に、涼野はぴたりと手を止める。 「悪くは、ない、」 「そうかそうか、」 綱海がそりゃ良かった、と笑うので、涼野はまたさくさくとかき氷を突き崩した。 かき氷を口に含むたび、涼野はわずかだがとろりと幸せそうに頬を緩める。 「なー涼野、」 そんな涼野を見て笑いながら、綱海は海を指さしながら声をかける。 涼野はかき氷を口に運ぶ手は止めず、なんだ、と視線だけ向けた。 「ちょっとだけ、波に乗ってきてもいいか?」 「構わない、」 短く答えて、涼野はまた口にかき氷を含む。 「やりぃ!じゃあその後であのアイス食いに行こうな!」 と、涼野の頭をぐしゃぐしゃと撫で回し、綱海はサーフボードを抱えた。 「つ、綱海っ、」 「んあ?」 自分を呼ぶ涼野の声に振り向けば、涼野はぐしゃぐしゃになった髪の毛を両手で押さえながら、微かに頬を染めていて。 「涼野?」 綱海が促すように名を呼ぶと、涼野はしばらく視線を泳がせてから。 「あ、あり、がとう、」 言い終わると同時に俯いた涼野は耳までほんのりと朱く染めていた。 「気にすんなって!」 綱海はからりと笑ってひらひらと手を振ると、海へ向かって走り出した。 --------------- 円堂さんに引き続きあみだくじペア。 天然にばかりあたるので涼野さん振り回されっぱなしですね。 アイス食べてないとかの突っ込みはなしでお願いします(笑) 10.07.15.加筆修正 |