晴矢と風介 ―君の腕の中で、 ある梅雨の夜 遠くから聞こえる水音に、ふと意識が浮上する。 霞む視界にうつるのは、電気を全て消したせいで薄暗い室内。 遠く感じていた水音はすぐ側の窓の向こうからで。 私は晴矢に気づかれないようにそっと身体を起こし、窓の側まで歩いた。 しゃあ、と小さく音をたててカーテンを開く。窓の外ではざあざあと雨が降っていて、ひんやりとした風が足を撫でた。 窓を閉めようかと少し悩むが、この程度ならとくに問題もないだろうとカーテンを元に戻す。 ベッドに膝をかけると、きしりと小さく軋んだ。その音にか、私の気配にか、晴矢が小さく身じろぐ。 「ん…、ふ…すけ?」 「晴矢…、」 薄く開いた目はまだほとんど夢の中のようで、ぼんやりとしている。 「起こしてしまったか、すまない、」 そっと晴矢の髪を撫でれば、晴矢は嬉しそうに笑って。 「ふうすけ、」 おいで、とばかりに両手を広げてくる晴矢に、私も小さく笑って、ベッドに、晴矢の腕の中に戻る。 ぎゅうと私を抱きしめる晴矢の腕は温かい。 頭を胸に押し付ければ、とくんとくんと晴矢の鼓動が頭に響く。 「おやすみ風介、」 「おやすみ、晴矢、」 晴矢の腕の中で、私は静かに意識を手放した。 --------------- ファイアードラゴンの合宿所イメージ^^ 10.07.04. |