小話 | ナノ


10.09.17.

世界
円ヒロ



 
※イギリス戦前



日付も変わり、俺たちイナズマジャパンの宿泊施設であるこの建物は、しん、とした静けさに包まれていた。
なるべく足音をたてないように、そっと階段を降りる。
玄関を開ければ、少しひんやりとした外の空気が頬を撫でた。
ジャージを着ていてよかった、と思う。
しばらくあたりをうろうろとして、グラウンドへ降りた。
大きく伸びをして、フィールドを見回す。
ああ、明日から、とうとう始まるのだ。
世界への、挑戦が。
 
「ヒロト?どうしたんだ?」

「円堂くん?」

突然後ろから声をかけられて振り向くと、そこには俺と同じくジャージ姿の円堂くんが立っていた。
円堂くんが俺の隣に並ぶ。

「うん、ちょっと…眠れなくてね、」

外の空気でも吸おうかと思って、と言えば、円堂くんは身体を大きく伸ばして。

「ヒロトもかー、俺もなんか眠れなくてさー、」

窓から外見てたらヒロトが見えたからさ、と。
いつものように笑った。


「いよいよだね、円堂くん、」

「ああ、」

ふたりでその場に腰をおろし、なんとなく夜空を見上げる。空はよく晴れていて、星がきらきらと輝いていた。

「キレイだなー、」

円堂くんはその場に仰向けに寝転がると、空に手を翳した。
しばらくそうしたあと、ぐっ、と手を強く握って。

「勝とうな、ヒロト、」

「え?」

一気に身体を起こして、円堂くんは俺に手を差し出す。

「ぜってー、勝とうな!」

ニッ、と笑う円堂くんを見ていると、絶対に勝てる、と。なぜかそう思ってしまって。

「うん、」

俺はその手に、自分の手を伸ばすんだ。



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円ヒロ…?

どうにも円ヒロはシリアスちっくなのが好きです
甘いのとかほのぼのんとしたのとか書いてみたいです…



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