小話 | ナノ


10.09.05.

プロポーズ 05
厚涼



 
※色々捏造
※未来設定


懐かしい、思い出の場所でのことだった。


風介さん、と呼ばれて、隣を歩く茂人へ視線を向けた。

「覚えてますか、あの公園、」

茂人の示す先には、いくつかの遊具が設置された公園があって。小さな子どもたちが、走り回っている。
幼い頃、私たちもよくあの公園で走り回ったものだ。懐かしいな、と返せば、茂人も懐かしいですね、と頬を緩めた。

「よく、晴矢たちとサッカーしたなぁ、」

目を細めて子どもたちを見る茂人の横顔は、慈愛といえるほどに優しくて。
茂人に声をかけられるまで、ぼんやりと見つめてしまっていた。
公園の入口に立って、走り回る子どもたちを目で追いながら、茂人がまた私の名前を呼ぶ。

「風介さん、」

茂人は相変わらず子どもたちに視線を向けたまま、私を見ない。

「もう風介さんとの付き合いも、長いですね、」

初めて会ったのは6歳の頃でしたね、という茂人は当時あんなに小さかったというのに、ああ、いつの間に私とこんなに差ができてしまったんだろう。
10代のはじめは共に名を変えサッカーに全てを捧げた。しがらみがなくなった後も、ボールを追うことはやめなかったけれど。

「いつだって、一緒にいてくれましたね、」

常に隣にいることは叶わなかったけれど、それでも茂人は、いつだって私の側にいてくれた。
茂人が私に視線を向ける。
幼い頃から変わらない、私に向けられる優しい瞳。

「これからも、一緒にいてくださいね、」

それは、私の言葉なんだ。
とりあえず早く敬語をやめろ、と言う私に、茂人は困ったように笑った。


―ずっと、ずっと、一緒に。


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プロポーズシリーズ
本日は厚涼でした!
何気に好きなんですけどもっと増えないかな…むむ…

正直、この敬語を見て一番に浮かんだのが茂人だったんですよね…
茂人可愛いよ茂人


元ねた→「(大通りの公園で)これからも一緒にいてください」


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