小話 | ナノ


10.09.03.

プロポーズ 03
基涼



 
※未来捏造
※大学生ぱろ


試験の終わった、休日のことだった。

大学に入学してからほぼ同居状態のヒロトも、試験期間はさすがに自分のアパートに戻り(といってもすぐ近くなのだけど)、ここ数日は私の部屋に来ていなかった。
私も試験とレポートに追われていたし、試験期間だけは、毎回こんなかんじだった。

試験の終わった今日はもう何もしたくない、と、まだ日も高いというのに私はベッドに寝転んだ。
側のローテーブルに置かれたふたつのマグカップだとか、ふたつ並んだ携帯の充電器だとか、ここ数日は使われていないヒロト専用のクッションだとか。
ひとりになるのは久しぶりで、それを実感したのも久しぶりで、なぜだか妙に、淋しかった。
そんなものを見ながらごろごろと転がっていると、ガチャリと玄関が開く音がして、私の名前を呼びながら、ヒロトが部屋へ入ってきた。

「あれ、風介寝てた?」

身体を起こしてふるふると首を横に振れば、ヒロトはそう?と首を傾げながら私の頭をそっと撫でた。
ヒロトの顔を見れば、目の下にうっすらと隈が浮かんでいて。顔色も少し悪そうだ。それをヒロトに言えば、昨日徹夜でレポート書いてた、と苦笑して頬をかいた。
無理をするな、と言いかけた私の身体を抱きしめ、ヒロトは深く息をついた。

「はー、やっぱり安心する、」

久しぶりの風介、と腕の力を少し強めたヒロトの背に、私もそっと腕を回した。

「ねぇ、風介、」

ヒロトは私の肩口に顔を埋めたまま、小さな声でぽつぽつと呟いた。

「やっぱりね、俺の帰るところはここなんだ、」

俺の部屋にいても落ち着かないんだ、というヒロトの気持ちは、なんとなくわかる。
私も、ヒロトのいないこの部屋は、落ち着かないから。

「これからもずっと、ここに帰ってきていい?」

不安そうに揺れるヒロトの声に小さく笑って、私はヒロトに腕を回したまま、ベッドへ背中から倒れ込んだ。


―君の帰る場所が、これからもずっと私だったらと、思うよ。


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プロポーズシリーズ
本日は基涼でした^^
基涼も好きなんですー^^


元ねた→「(徹夜明けに向かった彼女の家で)これからもずっとここに帰ってきていい?」




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