小話 | ナノ


10.08.29.

あとふつか
3top




※普通に中学生
※やっぱり一緒に住んでる



理科のレポートをようやくまとめ終えて、ぐいと身体を伸ばした。
凝っていた首から肩の筋が伸びるのが気持ちいい。

―これで全部終わった。

机の隅に積まれた夏休みの課題の上にレポートを重ねる。これで、今年も全部提出できるな。
数時間レポートとにらめっこしていたし、何か飲み物が欲しいな、とリビングへ向かった。
リビングのソファーには相変わらず晴矢と風介が仲良く座っていて。晴矢がゲームをしている横で、風介は本を読んでいた。
日頃は名前の通り涼しい顔をして読んでいるのに、珍しく考えこむようにして目を走らせる風介を不思議に思って、本の表紙をのぞきこんだ。

「…なに、」

「何読んでるのかなーと思って、」

「ああ、読書感想文の、課題図書、」

すっかり忘れていた、と風介はちょっと顔をしかめた。

「珍しいね、風介が忘れてたなんて、」

「あとは読書感想文だけだ、」

他は終わった、と本に視線を戻した後、ヒロトは?ともう一番顔を上げた。

「さっき全部終わったよ、」

理科のレポートに手子摺っちゃって、と苦笑すれば、風介もうんうんと頷いた。
その後は黙ったままひたすら文章に目を通していく。きっと、もう頭の中では文章が練られているんだろう。相変わらず器用だなあ。
これ以上風介の邪魔をしたらいけないだろうと、離れようとして、カレンダーをじっと見つめる晴矢に気付く。

「…ヒロト、今日何日だ?」

「29日だけど、」

そう言うと晴矢の顔がさあと青くなる。

「晴矢?」

いやいやそんなだって夏休みってあんなにあったじゃん1ヶ月以上あったじゃんこの間まだあと半分以上もあるから平気だって言ったのになんであとふつかしか…と、ぶつぶつ言いだした晴矢の頬を両手で包んで無理矢理顔を合わせる。

「晴矢、夏休みの課題は?」

「まだ…終わって、ない、デス…、」

「あと何が残ってるんだ、」

風介も本を閉じて晴矢をじとりと睨んだ。

「あ、あと…、」



晴矢からゲームを取り上げた。
セーブもされていないそれの電源を落とし、にこりと顔を笑みを浮かべた。

「さあ晴矢、続きは夏休みの課題が全部終わってからね!」

大丈夫大丈夫、だって、まだあとふつかもあるんだから。



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世間的にはそろそろ夏休みも終わりですね
課題は計画的に!





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