小話 | ナノ


10.08.24.


キューガゼ




「ガゼル様、」

ふと、ガゼル様の手元を見たときに気になって、練習後にガゼル様を呼びとめた。

「どうした?アイキュー、」

小さく首を傾げたガゼル様の手をそっととって、まだ幼さの残る、白く細い指を確かめるように撫でた。
ガゼル様は擽ったそうに腕を引こうとするが、握る手に少し力を込めてそれを阻止する。

「アイキュー?」

「ガゼル様、爪が少し伸びてますね、」

揃えさせて下さい、と言えば、ガゼル様は少し表情を柔らげて。

「ああ、お願いするよ、」



ガゼル様の部屋で、ガゼル様は優雅にご自分のベッドに腰をかけ、俺はすぐ側に膝をついてガゼル様の手の爪をそっと切り揃える。
爪切りは爪に負担がかかると聞いたから、専用の鋏で少しずつ短くしていく。
最後に鑢を使って綺麗に整える。
もうずいぶんと長く俺に任されたことだ。
ガゼル様はその間どこか安心したような、少し気を抜いた様子で手元を眺めていた。

「ガゼル様、足はよろしいですか?」

「そうだな、ついでに頼むよ、」

するりと、靴下から白い足が現れる。
さすがストライカーの足というべきか、綺麗に筋肉のついた足だ。
それでもまだまだ幼さの残るラインが、自分たちのキャプテンといえど、歳は変わらない少年であることが感じられて。なんだか安心した。
片手で足を支え、殊更丁寧に足の爪を切り揃えて、鑢で整えていく。
もうしばらくこうしていたくて、ゆっくりと時間をかけていると、ガゼル様にそっと名を呼ばれた。

「アイキュー、」

「はい?」

鑢をかける腕を止めて、ガゼル様を見上げる。
ベッドに腰をかけて手を後ろにつき、足を差し出したままのガゼル様は、しばらく言葉を探すように視線を泳がせた後。

「これからも、頼む、」

ほんのりと頬を染めて、そう言って笑った。

「任せて下さい、ガゼル様、」



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キューガゼは主従的なポジションが美味しいです^^

なんだか纏まりのない話に…





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