小話 | ナノ


10.08.08.

キスのシチュエーション番外編
グラバン




プロミネンスの談話室で、レアンが雑誌を片手にきゃあきゃあ騒いでいた。
ボニトナやバーラにも雑誌を見せてやけに盛り上がっている。

「ねぇねぇ、バーン様はどんなのがいいと思う?」

「は?」

急にレアンが雑誌を俺に向けた。
開かれたページには『女の子はこんなキスのシチュエーションが好き!』という文字がでかでかと書かれていて。
きょとんとする俺に、こんなシチュエーションでキスされました、という体験談特集だと、ボニトナが教えてくれた。

「いや、俺に聞かれても、」

正直興味がない。
レアンとバーラはこれがいいだのやっぱりこっちがいいだの楽しそうだ。
たまには女らしくていいんじゃねーの、とその様子を眺めていたら。
今度はレアンが俺に雑誌を渡してきた。

「これ!これやばい!」

雑誌を俺に持たせたまま、レアンとバーラがそれを覗き込むようにして読む。
…自分たちで読めよ。
はあ、と溜息をつきながらもそのままにしていると。

「へぇ、バーンはこんなキスに憧れてるんだ、」

いきなり耳元で囁かれて、慌てて顔を上げる。

「グラン?!」

なぜかそこには笑みを浮かべたグランが立っていて。
知らなかったなあ、と笑みを深くすると、俺の顎を掴んでいきなりキスをしてきた。
小さく音をたてて唇を離すと、グランは俺の膝の上から雑誌を拾いあげて。

「強引なキスが好き、」

と、そのページを笑顔で読みあげる。
ようやく状況の読み込めた俺はグランに殴りかかるが、グランは相変わらず笑顔でするりとそれをかわした。

「グランてめぇっ!」

顔があつい。とにかくグランを殴ろうとして、はたと気付いた。
おそるおそる首をそちらへ向ける。
顔を真っ赤にしたレアンと、両目を覆ったバーラと、口元に手を当てるボニトナを見て。
俺は走って部屋に戻った。

明日からどんな顔してあいつらに会えばいいんだよ。


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キスのシチュエーションシリーズ番外編^^

昨日のやつのグラバンリメイク(笑)
初グラバンです^^
グラガゼにするかグラバンにするか迷ったのでどっちもやってみました^^





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