小話 | ナノ


10.08.07.

キスのシチュエーション05
グラガゼ



いきなりグランに呼ばれ、仕方なしに部屋まで来たというのに。なぜかグランはいなかった。
イライラと髪の毛を掻き、ベッドに腰をかける。
そのベッドには、読みかけなのか、開かれたままの雑誌が無造作に置いてあった。

『女の子はこんなキスのシチュエーションが好き!』

開かれたカラフルなページには、ポップなフォントでそう書かれている。
他にすることもないし、なんとなく、ぱらぱらとページをめくってみる。特集らしく、キスのシチュエーションについてのページが続いていた。
というかこの雑誌は誰のものだ。
明らかに対象は女子だろう。
ウルビダのものか?いやそれはないか。
じゃあグランのか。
…ああ、奴ならありえそうだ。
雑誌の内容などもう頭にははいっていなくて。だらだらと考えていた。
それが、いけなかった。

「ふぅん、ガゼルってこんなキスに憧れてるんだ、」

いつ戻ってきたのか。いきなり声をかけられて、反応するよりも早く、顎に手をかけられた。
そのまま軽く持ち上げられ、キスをされる。

「グラン…っ!」

突き飛ばすように身体を離すと、グランはにっこりと笑ったまま、私の手から落ちた雑誌を指差す。

「それならそうと、早く言ってくれればよかったのに、」

と、今度はベッドに押し倒されて、呼吸もできないほどのキスをされた。

床に落ちてページの歪んだ雑誌は、強引なキスを特集したページを開いていた。


はめられた、と私が気付くのは翌朝のことだった。


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キスのシチュエーションシリーズ

ラストはグラガゼでした!
策士グランちゃん^^

この後ガゼルさまは美味しくいただかれましry



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