小話 | ナノ


10.07.31.

お題03
南涼



 
近所で花火大会があるらしい。
ヒロトに勧められるまま甚平を着た。
動きにくいかと思ったらそうでもなくて、むしろ涼しいしかなり快適だった。
ヒロトと風介は浴衣を着ていて。風介はちょっと歩きにくそうだった。

花火大会の会場に着くなり、円堂を見つけたヒロトは走って行ってしまい、俺と風介はふたりで屋台を見て回る。
浴衣に下駄は歩きにくいのか、風介の足取りはゆっくりだ。
大丈夫か、と聞くと風介は小さく頷く。
俺はできるだけゆっくり歩いてるつもりだけど、それでも風介との間は徐々に開いてしまう。
人もだんだんと増えてきたし、はぐれたら大変だと思って。
風介の手をぎゅっと握った。風介が驚いたように俺を見る。

「これで、はぐれないだろ、」

並んで歩く風介の下駄の、からんころんという音が妙に心地良かった。



―はぐれない方法



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お題は確かに恋だった様から
夏祭りシリーズです
私が悉く夏祭りに行けないので…


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