推しに尽くしたい話 | ナノ


▼ ある夫婦の休日

2020/11/22「極上の1杯を貴女に」の無配

***

「おかえりなさい、零さん」
 ふわり。家に帰ると妻が柔らかな笑顔で迎えてくれる。何年も潜入し追った組織を瓦解させてしばらく。ようやくまともに一緒に住めるようになったはいいが、公安警察という職業柄、多忙さからは逃れられない。長期にわたる任務が完了したので、本来精神鑑定兼ねて休暇でも入ろうものが、何せ壊滅させた組織の規模が規模だ。後処理にも随分と時間がかかり、警察庁の僕がそう長く休めるはずもなかった。そうこうするうちに次の仕事が入り、休みは有耶無耶になってしまった。改めて執り行う結婚式や結婚旅行は何が何でも融通させるが、その為にも今は職務に集中しなければならない。
 安室透が消えて、降谷零として表に出るようになって。コナン君──いや、工藤君や梓さん達との接触もなんだかんだで継続中。ポアロの常連だった彼女のおかげで、今も繋がっていると言っても過言ではない。
「ただいま」
 ああ、安らぐ。玄関先でぎゅうと抱きしめて頭に顔を埋め、愛しい彼女の匂いを取り込んだ。彼女自身のひだまりの香りに混じった彼女の勤務先の匂い。それから、作ってくれていた晩御飯の匂い。記憶にある冷蔵庫の中身と漂う香りからメニューを推理する。
「……肉じゃがと栗ご飯、わかめと──豆腐の味噌汁?」
「残念、豆腐じゃなくて油揚。それからほうれん草の白和え」
「なるほど、豆腐はそっちに使ったか」
「カツオのたたきもあるで。安かったんよね。でも刺身は抜いても、外すなんて珍しいな」と彼女がくすくす笑う。
「僕をなんだと思ってるんだ。あー、お腹空いた」
「はいはい」
「ん」
「え?」
「ただいまのキス」
 へにょりと困ったように照れくさそうに笑って、彼女が背伸びをして僕の頬にキスをする。
「今日はおつかれ、なんかな? いつもありがとう。すぐごはん用意する、待っとって」
 一度だけぎゅっと抱き締めるとすぐに離れてキッチンに戻る妻を見送り、やっと靴を脱いだ。
「……ほっぺだけか」
 呟きは本人には届かない。まあ、いいか。
 やっと僕の手が届いた平和と幸せを噛み締める。

 出勤日と鑑みれば随分と手の込んだメニューに舌鼓を打つ。下拵えをしてから出勤したのだろう。
「そうだ、来週……二十二日、予定入ってるか?」
「今んとこ一日暇かな。久々にポアロに行くか迷い中」
「梓さんにはまだ言ってない?」
「うん」
「じゃあ、ポアロはなし」
「はーい」
 僕の発言だからって、理由も聞かずに笑顔で快諾する。断る想定のない僕も僕だが。
「その日は僕とデート」
「……え、休み?」
 びっくり仰天を顔でアピールする。そこまでびっくりされると、普段の行いがいかに一般から逸脱しているか感じさせられてしまう。確かに、帰れない日も珍しくないが。
「ああ。一日休み」
「もぎ取った?」
「もぎ取る前にねじ込まれた」
「どういうことなの」
「十一月二十二日と言えば?」
「ボタンの日? あ、小雪?」
「他には?」
「……大工の日? むむ、その顔は違うんやな。大工の日やから休みとか意味わからんもんな。となると、誰かの誕生日やっけな。いや、零さんの周りに誰か誕生日いてもむしろ代理で出勤になるか」
 箸を完全に止め、真剣に考えている。しっかりしてるのに、突然こういう抜けっぷりを発揮するところも可愛いのだけれど。逆にその選択肢がするっと出てくる人間は日本にどれだけいるか。
「分かった、ハロか! わんわんにゃんにゃん、ペットの日や!」
 満面の笑みと言葉にはグッとくるものがある。にゃんにゃん……じゃなくて。
「いい夫婦の日、だろ」
「あ、それや! 市役所が一番忙しい日」
 すぐに脱線しようとする会話を咳払いで制する。いい加減夫婦に慣れてくれてもいいものだが、ここまでくると気質なのだろうか。
「たまには少し遠出しないか?」
「行きたいとこあるん?」
「一応な。君はないのか?」
「んー、すぐには浮かばへんなあ」
「じゃあ、行先は任せてもらおうかな。当日はある程度動きやすい格好で、防寒対策もしっかりしておけ」
「了解! 最近ぐっと冷えるようになったもんなあ」
 にぱりと頷いた妻に、期待させて悪いのだが。
「ただ、悪いが前日は多分かなり遅くなりそうでな……」
「そしたら昼出発にする? 結局場所によるんか」
「そうだな、昼食べてから出よう。早朝出発が必要な程でもないから」





 そして迎えたその日、先に起きた彼女はいつになく上機嫌でキッチンに立っていた。それこそ、昨夜彼女が取っておきの日のためのパックを使った痕跡があるのを見つけた程度には、今日を楽しみにしてくれているようだったし。指摘すると呻いて次から隠蔽工作をしそうなので言っていないが。結婚して、潜入していた組織にまつわる一連の案件が終わって、大阪に住んでいた彼女を東都に呼び寄せた。以来当然ながら顔を合わせる機会は格段に増え、今や日常になったというのに。会えなかった頃と同じように、いやそれ以上に浮かれているのが分かる。
「あ、おはよう。零さん」
「おはよう」
 僕の朝は妻の笑顔から始まる。
「昨日遅かったけど、疲れ取れた?」
「ああ。ちょっと寝すぎたかな」
 時計をみると、もう十時近い。
「ええやん。休みに休まずしていつ休む。ふふ、髪ちょっと跳ねとるな」
「……あとで直、おっと」
 ちぎれんばかりに尻尾を振りつつ、足元にタックルをかましてきたハロを撫でてやる。
「おはよう、ハロ」
「アン!」
「悪いが今日はお留守番だぞ。できるな?」
 白い塊がまた元気よく鳴いて、かまってかまってと飛びついてくる。絶対分かってないな、と思った。
「お昼も近いけど、朝ごはんどうする? なんか軽くお腹に入れる? いっそ早昼にしちゃう?」
「そうだな……」
 お腹に手を当て、考える素振りをする。答えはもう決まっているのだ。
「軽く食べようかな。ミネストローネ、作ってくれてるんだろ?」
 セロリがたっぷり入ったミネストローネは、彼女がよく作ってくれる大好きなメニューの一つだ。
「やっぱ千里眼やん。よし、一緒に食べよ。すぐあっためるから、とりあえず顔洗ってきて」
 そう言って、電気ケトルに水を汲み始めた。戻ったときには抹茶入りの緑茶が新聞の横に用意されているんだろうな。ハロを撫でて立ち上がる。僕が足を踏み出すとついてきたが、好きにさせておいた。
 洗面台で鏡を見ると、確かに髪が跳ねていた。昨日あまり髪を乾かさずに寝たからだろう。
「何もここまで……」

 顔を洗ってなんとか寝癖を直して戻ると、予想通りにテーブルにはお茶が置かれていた。
「スープもうちょい待ってな。座って待っといて」
「ああ、ありがとう」
 新聞を読むふりをしながら、彼女を何度も盗み見る。鼻歌でも歌いそうな勢いで、鍋をかき回している。濃い訳ではなく、ただいつもより丁寧に施された化粧。部下が爆速時短メイクしているのを目撃して悲鳴を上げられたこと、逆に特殊メイクをしてもらった経験とその幅広さはそれなりに知っているつもりだ。きちんとやるなら手順も時間もかかると理解している。昨晩抱きしめたときの肌はすべすべだったから、忙しい中でもケアは欠かさずしているようだ。手をかざし、暖まったのを確かめると二つの深皿に移し、スプーンと共に持ってきた。
「読んだ?」
 テーブルにスープを置き、彼女がにやりと笑った
「読んだ。工藤君の記事のことだろ? いただきます」
「はいどうぞ。ほんますごいよなあ。でも旅先でってあたりが余裕を感じる。ま、受験で滑るとか想像できへんけどな」
「ああ、休学のブランクを感じさせない成績らしいな」
 頷いて、彼女の視線を感じながらスープを口に運ぶ。野菜の旨味が口に広がり、体に沁み渡っていく。
「そうなんや。それどこ情報?」
「本人だよ。一昨日警視庁に寄ったときに偶然会ってな。この記事とはまた別の事件の事情調査みたいだったが」
「さっすがあ」
 呆れたように言いながら、器用にも僕がスプーンを口元にやるたび目を細めて幸せそうに微笑んだ。



 洗濯と掃除を手分けして行い、昼食は昨日僕がリクエストしたお好み焼きだ。二人で作るのは初めてだ。たこ焼きも考えたが、先月親友を招いてやったので外しておいた。僕が長芋をすり下ろし、彼女がキャベツを荒みじんにする。材料を入れてスプーン混ぜだ生地を彼女がホットプレートに流す。ホットプレートと共にヘラのセットが出てきたときには驚いたが、彼女に言わせるとこれはコテと呼ぶらしい。
「こっちの大きい方が零さんのやつな」と言った。一人一枚か。
 空になったボウルをキッチンに運び、豚肉を持ってきて、僕が生地の上に並べた。
「あ、今更やけどシンプルな豚玉でよかった?」
「うん。シーフードの方が好み?」
「基本は豚玉やな。たまにコロ玉食べたくなるけど」
「コロ玉?」
「牛すじとこんにゃくの甘辛煮やな」
「ああ、ぼっかけか。神戸の方だな」
「そうそう」
 焼けるのを待ちながらお好み焼き談義をする。自然薯は手に入らなかったこと、山芋派と長芋派、キャベツの千切り派と荒みじん派、もちとチーズの有無、果ては広島風お好み焼きとの違いなど粉物の国ではどうもこだわりが強い。混ぜるときはふんわりと、混ぜすぎないのがコツらしい。
「やっぱそっちの人って、コテで食べるのか?」
「あはは、それは観光案内する時にだけやる食べ方やで」
「騙しにいってるのか……」
「外国人観光客に忍者のこと聞かれたら、シッ普段はサラリーマンとかに扮して潜んでるんやから言ったらあかん──って教えるんと似たようなもんやで」
 口元に人差し指を当て、周囲を警戒する仕草をした。
「こうして誤解が広まっていくんだな」
「私はまだやったことないで」
 機会があればやるんだな。
「そろそろやな」
 妻は自分のお好み焼きをコテで器用にひっくり返す。きつね色にやけた生地が上を向き、豚肉と生焼けの生地がじゅうと音をたてる。
「やる? それともやろうか?」
「やる」
「はい。ひっくり返したあとは押したらあかんよ」
「おう」
 腕まくりをしてコテを受け取り、完璧にひっくり返すと、妻が拍手してくれた。君もやってたじゃないか。
 焼き加減を見てもう一度ひっくり返し、妻がたっぷりのソースをかけると、溢れたソースがじゅうじゅうと音を鳴らして香ばしい匂いが食欲を唆る。交代して僕がマヨネーズをかける。鰹節を乗せると熱でゆらゆらと踊り、その上に青のりをトッピングして仕上げる。
「できたー!」
「ああ、うまそうだ」
 切んで、と言って彼女はお好み焼きを格子状に切り一つを自分の皿に移し、お箸を出した。
「いただきます」
「いただきます」

 食後にサッと片付けをして、着替えて車に乗り込んだ。妻はブラウンのニットとグレーのテーパードパンツ、足元はスニーカー。冬物のコートにマフラーも用意していて、昼間は暑いのでマフラーは後部座席に置いた。さあ、出発だ。
 行先はまだ僕しか知らない。
「どこいくん?」
「どこだと思う?」
「ノーヒントか。んー、日帰り温泉?」
「ハズレ。温泉は冬にでも行くか」
「やっぱ冬よな。えーと、神社」
「ハズレ」
「遊園地!」
「遠のいたな。それだと君は朝から行きたがるじゃないか」
「確かに。じゃぶどう狩りとか」
「お、戻ってきた」
「紅葉狩り?」
「それも見れるな」
「山」
「ざっくりしてきたぞ」
「……自然」
「当たってるけど括りが大きい」
「天体観測ならもっと遅い時間に出るしな……難しい」
 結局答えは出ずじまいで着いてからのお楽しみ、ということになって、最近の出来事を話しながら車を走らせた。なんだかんだ今日の時間を邪魔されないために働いて、あまり二人の時間を取れていなかったな。



「零さん、もしかしてあそこ?」
「そう」
 道中の案内板を指し、妻は途端に顔を綻ばせた。
「植物園、かあ……なんか記念に種か苗か、買って帰ろう」
「ああ」
「ハロちゃんに食べられへんように育てんとなあ」
「セロリの二の舞は避けたいな」
 くすくすと二人分の笑い声が車内に響いた。

 着いた目的地では、手を繋いで見て回った。最初こそ恥ずかしがっていたが、たまにはいいだろ、デートなんだから、ここなら知り合いにそう会わないよ、などと言いくるめた。あっさり陥落した。季節の花々と紅葉を見て感嘆の声を漏らし、温室で多肉植物をほのぼのと眺め、木の違いは分からないと眉根を寄せる妻に解説をしてやる。そうすると目をキラキラさせながら花と木と僕の顔とで視線を往復させた。冷えるので休憩所でコーヒーを買い、次のゾーンに進む。
「これがオトギリソウ!」
「確か……絞り汁を患部に貼るんだったか」
「そう。切傷打撲に効くらしい。らしい」
 薬草に分類される植物を確認するとちょっとテンションあがり、毒性のある植物の解説をまじまじと読むのはなんなんだろう。論理派化学薬品派で漢方を否定はしないが選ぶなら西洋医学派だったはずだし、登山や無人島旅行の趣味はなかったはずだが。
「気をつけよう」とぼそりと呟いたのが耳に入った。
「何にだ」
「世の中どんな犯人おるか分からんやん。念には念を入れて」
「どんな念だ……」
 まあ、なんだかんだ楽しそうなので良しとする。

 売店で何を買うか吟味した。
「種? 苗?」
「種なら、植える時期も考慮しないとな。あと鉢とプランターも買い足しておくか。まあ、これは急がんが」
「あ、どっちにしても、食用? 観賞用?」
「君はどっちがいい?」
「うーん、観賞用、かなあ。でも記念に買った種で作った野菜収穫しておいしく食べるのも捨てがたい……」
「一通り回りながら考えようか」
「そうやねえ」
 種を見て、一からもいいけど、と嘆息した。
「やっぱり苗にする、観葉植物飾る。記念に部屋に飾る」
「なら季節の物より年中植物にするか?」
「確かに、折角やから秋の花でもいいけど、育てた! って感じはないか」
育てることに拘りを見せている。いつどうなるとも分からない仕事が終わって家庭に入って、彼女が二人の未来を現実的に想像するようになったのだと思うと感慨深い。
「あっ、これとかどう?」
ちょいちょいと繋いだ手を引き、彼女が指さしたのは小さなサボテンだ。
「それならハロは食べないな」
「やろ? 手もかからないし」
「水をやりすぎると腐るんだったな」
「えーと、根腐れやっけ?」
「ああ、元々乾燥した所に生えるだろう? サボテンなどの多肉植物は茎や葉の中に水を蓄える機能が高く、湿気や蒸れに弱いんだ。だからみずをやりすぎると処理しきれなくなって、根元の方が黒くなったり、ぶよぶよしてくる。季節ごとの水のやり方と頻度の工夫と、あとは植え替えの時に水はけのいい土を使うことなんかが対策だな。それに、根腐れも早期発見できれば傷んだところを切ればいい」
「なるほど……サボテン育ても奥が深いんやな……」
「初心者向けではあるぞ」
「よし、サボテンちゃんにする。どの子にしようかなあ」
「普段から僕とベランダ菜園やってるじゃないか。初心者ではないだろう」
 くすくすと笑ったが、彼女の決意は固かった。サボテンに異議もなかったので、一緒に選んだ。サボテンと一口に言っても種類は多い。クジャクサボテンのひとつの月下美人にゆらぎつつ、ドラゴンフルーツもサボテンの一つと話すと驚き、最終的に僕が選んだ白い花を咲かせる金盛丸を大事そうに抱え、レジに向かった。
「うまく咲かせられるといいな」
「え、難しいの? がんばる……」
「ああ、一緒に頑張ろうな」
「うん!」
 一転、彼女は顔をほころばせた。



 休憩と時間調整に観光地に立ち寄りつつ、夜は予約しておいた割烹でゆっくりと海鮮を食べ、家で再現できるメニューはないかと使われている食材と隠し味、調理法を考察する。僕のことは気にするなと日本酒をすすめ、おいしいかったから今度通販して家で晩酌しようと約束した。

 ほろ酔いの妻を助手席に座らせ、運転席から頭を撫でると気持ちよさそうに目を細めた。暗がりの中で額にキスして、シートベルトを付ける。
「……零さん」
「なんだ?」
「大好き」
「はは、知ってる。僕も好きだよ」
 サイドブレーキを上げ、アクセルを踏んだ。日はとっぷり暮れたが、まだ家には帰らない。

「着いたぞ」
「……海。私、夜の海好き」
「知ってるさ。寒いからマフラー忘れるなよ」
「うん」
 冷たい夜風を浴び、ぴとりと寄り添い、ゆっくりと散歩した。時間と寒さで酔いは醒めてきたようで、冷えてきた手を繋いだまま僕のコートのポケットに突っ込む。
「わ」
「ん?」
「んふふ、あったかいなあ……」
 この世の幸せを煮詰めたような、蕩けた声を出す。
「零さん、ありがとう」
 月明かりに照らされた彼女はひどく美しい。僕が足を止めると、手を繋いだ彼女も足を止め、不思議そうにこちらを見上げた。その唇に吸い込まれるように、自分の唇を重ねた。数秒そうしていて離れかけると、今度は彼女が背伸びして僕にキスをした。
「零さん」
「なんだ?」
「これからも、よろしく」
「こちらこそ、よろしく」
 額をこつんとくっつけて笑いあい、どちらともなく唇を重ねた。
 浜辺をのんびり歩いて、冷えたなと自販機でコーヒーとミルクティーを買って車に戻る。
「帰ろうか」
「うん。あー、今日楽しかったなあ」
「それは何よりだ」



 日付が変わる頃にまだ東都にも辿り着いおらず、彼女が眠たそうに何度目かの目を擦った。
「寝ていいぞ」
「う、でも……零さんばっか運転しとるし……」
「僕が好きでやってるんだ。それに朝早かっただろう? 明日も出るって言ってたし」
「……それは零さんもやん。仕事。私より早いし」
「気にするな。連れまわしたのは僕だぞ。着いたら起こすよ」
「うぅ……」
 しばらく唸り、眠気と戦っていたが、僕が沈黙していると間もなく睡魔に敗北して夢の世界へと沈んでいった。街明かりに照らされた彼女に目を向ける。
 僕の夜は妻の穏やかな寝顔で終わる。

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