Every kind of trivial thing

「ねぇ、なまえ」

『なーに?』



一限目の授業終わり、次の授業の準備をしていると優里ちゃんが私の所までやってきて話し掛けてきた。入学してから、優里ちゃんと行動を共にすることが多くなって話す機会も増えた。



「まだ赤葦とは続いてるの?」

『……え!?』

「だって、ほら!うちの中学じゃ有名だったじゃん?なまえと赤葦」

『そ、そうかな』

「そうだよー、お似合いだって」

『え!?そんなことはないよ!』



京治くんと私がお似合いだなんてそんな事、聞いたこともないし思ったこともない。
にこにこと笑いながらそう言ってくる優里ちゃんに顔を赤くして否定するけど、お構いなしにぐいぐいと迫ってくる優里ちゃんに思わず両手を上げる。



「で?続いてるの?」

『え…う、うん』

「…そっか!てか、同じ高校に進んだんだし当たり前かぁ………あ、噂をすれば」

『え?』



ニヤニヤとした優里ちゃんの視線を辿って廊下を見ると、京治くんが立っていた。え、どうしたんだろう。じっとしていると、京治くんが口パクで私の名前を呼んだからきっと私に用があるんだろう。



「ほらほら呼んでるよ」

『あ、えと、ちょっと行ってくるね』

「はいはーい」



少し恥ずかしくなりながらも京治くんの所まで来ると、京治くんは優里ちゃんを見て言った。



「なまえ、天野と同じクラスだったんだ」

『?…京治くん優里ちゃんと仲良いの?』

「中学の時よく委員とか被ってたから」

『あ、そうなんだ』

「それと、今日の昼なんだけど」

『うん?』

「バレー部の先輩が一緒にって言うから、今日はごめん」

『え、全然いいよ!』



学校生活も友人関係も落ち着いてきた今日、京治くんとお昼を一緒に食べる約束をしていた。…けど、先輩に誘われてしまったなら仕方がない。楽しみだったけど、今日は先輩方に譲ってあげよう。



『それより、凄いね!もう先輩と仲良しなんだ!』

「いや、仲良し…というより、絡んでくる先輩がいて」

『え、怖い人?』

「ううん、そういうのじゃなくて、ちょっとアレな人」

『アレって』



真顔で先輩をアレ呼ばわりした京治くんに苦笑いすると、赤葦くんは笑って「その変わりに」と続けた。



『うん?』

「今日部活早く終わるらしいから一緒に帰ろう」

『っえ』

「嫌?」

『え!?い、嫌じゃないよ…!』

「良かった」

『えと、じゃあ時間になったら校門で』

「うん、また連絡する」



京治くんと一緒に帰るのは久しぶりで。もう、この約束だけで今日一日元気でいられる。

  
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