Dear face

今日から授業が始まる。担任の先生には昨日会った。すごく優しそうな女の人で少し安心した。私の隣の席は、スポーツが得意そうな男の子だ。なんだか小学校の頃の好きだったあの子と雰囲気が似ている。



「なぁ、名前なんて言うの」

『……え、私?』

「そうそう」

『みょうじ、なまえ』

「みょうじさんね。隣の席だから色々と迷惑かけるかもだけどよろしくなー」

『こちらこそ』



軽く挨拶を交わすと、彼は反対隣の人に声をかけている。律儀だなぁ。私もこうして積極的に声をかけたほうがいいのかな。でも、なぁ…。



「あれ、なまえちゃん?」

『え?』

「あー!やっぱり!なまえちゃんも梟谷にしたんだ!」



少し離れたところから名前を呼ばれて、そちらを向くと見覚えがある女の子が居た。私の顔を見るなり笑顔で駆け寄ってきた彼女に少し驚きつつも、口を開ける。



『えっと…優里ちゃん?』

「えっ、私のこと知ってたの?」

『1年の時、同じクラスだったよね?』



私がそう答えると彼女は驚いた顔をした後に、にっこりと微笑んで大きく頷いた。



「そうそう!でもあんまり話したことなかったでしょ?私、前からなまえちゃんと仲良くしたいなって思ってたんだよね」

『え、本当?』

「また同じクラスだし、今日からよろしく!なまえって呼んでいい?」

『うん!よろしくね』

「じゃあ連絡先教えてよー」



そう言いながら制服のポケットから取り出したスマホを操作する彼女、天野優里ちゃんは中学1年の時に一度だけ同じクラスになったことがある。明るい性格の子で誰とでもすぐに仲良くなることができる性格だった。みんなのリーダー的存在の子だ。中学では挨拶程度でしか話したことはなかったけど、私と仲良くしたかったと言ってくれたのが嬉しかった。
連絡先を交換した後に「じゃあこれからよろしくね、なまえ」と言って他の子の所に行ってしまった。相変わらず可愛いなぁ。そんなことを考えていると、隣から手が伸びてきて机を叩かれる。



「ね、今の子誰?」

『天野優里ちゃんだよ』

「すげぇタイプなんだけど!みょうじさん仲良いの?」

『中学が同じだったから』

「そーなんだ」



いいな、と羨ましがる彼に苦笑いをする。
そういえば、優里ちゃんに彼氏がいると言う噂は聞いたことがないなと、ふと思い出した。

  
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