A little anxiety

『クラス離れちゃったねー』

「まあ、三年間同じだったからね」

『しょうがないかぁ』



入学式も終わり、京治くんとの帰り道。
クラスが京治くんと同じではなかったのは残念だけど、中学で三年間一緒に過ごせたんだからしょうがないとも思う。
自分の教室でまわりの人の顔を見てみると、ちらほらと見知った顔はいるけど特別仲が良かった子はいない。でも、まあ、やっていけるだろう。ただ一つ不安なことと言えば、私と京治くんが付き合っていることを知らない人ばかりだと言うことだろうか。



「なまえ?どうかした?」

『んー、別に何でもないよ』



隣にあった京治くんの手をそっと握ると、私から手を握るのは珍しいと不思議に思ったらしい京治くんにどうかしたのかと聞かれたけど「京治くんが他の誰かに取られるんじゃないのか不安です」なんて事は言えないから、何でもないと答えると「そう?」と言って私の手を握り返してくれる京治くんが好きでたまらない。



「明日なんだけど」

『うん?』

「部活見学に行くから、先に帰ってもいいよ」

『あ、バレー部か』

「うん」

『わかった、じゃあ先に帰るね』

「…一人で帰れるよね?」

『えー!帰れるよ!』

「なまえ一人だと心配なんだけど」

『…京治くん私を何歳だと思ってるの』



頬を少し膨らませてみせると、京治くんが笑って「ごめん、冗談」と言った。…そりゃ、まだ梟谷から家の道のりはしっかりとは覚えてないけど、一人でも大丈夫だよ…多分。

  
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