It comes into the view

同じクラスになっても私と赤葦くんの関係は変わらない。私もなるべく彼のほうを見ないようにしているし、彼も多分同じだろう。たまに目があったとしても直ぐに逸らされる。
私の友人関係も変わらない。同じクラスだった人も数人いるけど当然私を避ける。他のクラスの人は私が虐めにあっていたことは知らないけれどみんな大体同じクラスだった人と仲良くなってグループを作ってしまって、まだ二年になって数日しか経ってないのに早速クラスで浮いている気がする。
もう慣れっこだから、そんなに気にならないけど授業でペアやグループをつくる時は困るかなぁ。



「京治ー、ちょっと」



教室の外から聞こえたその声に、赤葦くんが静かに席を立つ。
…この光景を見るのも慣れてしまった。それでもなるべく見たくはなくて視線を机の上に向けていると聞きたくもない噂話が耳に入る。



「天野さんじゃん」

「また来たんだー」

「やっぱあれじゃん?好きなんでしょ?」

「赤葦くん?」

「そうそう」

「毎日来る勢いだもんね」

「てか、アピールすごいよねー」

「あれもう付き合ってたりするの?」

「知らないけど、付き合っててもおかしくないよね」



頻繁に教室へと足を運ぶ優里ちゃんと赤葦くんに流れた噂はこんなものだった。ちなみに私に流れていた噂はまだ消えていなくて、私はどうやら他校の人と付き合っていることになっているらしい。勿論他校の人と話したことなんてないし、中学の時の友達と高校に入ってから会ったこともない。



「じゃあ、部活終わったら連絡してね」

「わかった」



…こんな光景を見るくらいなら、赤葦くんと同じクラスになんてなりたくなかった。じわじわと目頭が熱くなったのを感じて机に突っ伏すして、おさまるのを待った。

  
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