I have to do something by myself

結局そのまま家に帰ってきてしまった。
まだ授業は残っていたし、先生には何も言っていないし騒ぎになっていなければいいけど。
玄関の扉を開けるのを躊躇しながらも手をかけると、扉を開ける音が聞こえたのか中からお母さんが顔を覗かせる。そういえば今日は仕事が休みだって言ってたな。



「あら、なまえ?」

『っ…体調、悪くて帰ってきた』

「え、そうなの?連絡くれたら迎えに行ったのに」

『ごめん、仕事休みだって言ってたの忘れちゃってたから』

「そうなのね。体調は?」

『…多分、少し寝れば治ると、思う』

「ん、わかったわ」



じゃあ、少し寝るね。
そう告げて自分の部屋へ足を進める。不自然、だったかな。今日あったこと、お母さんに言えなかった。わたし、このまま誰にも相談出来ないのかな。
…学校行くの、怖いな。だけど休むのはなんだか自分が悪いことしてるみたいで嫌だな。私は何も悪くない、はず。少し誤解を招いてしまっているだけで、あんな噂すぐになくなる。それまでの我慢だと思えばなんとかやっていけそうだ。それに、学校を休んだり、気分が落ちてしまうと両親や京治くんに要らぬ心配をかけてしまうかもしれない。



『それだけは、だめ』



これは私の問題だ。私がしっかりしなきゃ。
とりあえず今日は一度落ち着いて色々考えよう。目を閉じて寝ようとすると携帯が震えてメッセージが届く。

【体調悪くて帰ったって天野から聞いたけど大丈夫?】

送ってきてくれたのは京治くん。嬉しいはずなのに、文章の一部から目が離せない。私は別に体調が本当に悪かったわけじゃない。しかも、体調が悪いなんて誰にも告げていない。
…優里ちゃんは、本当に何がしたいのだろう。
きっと、京治くんなら話せば助けてくれるかもしれないけど、今部活動で頑張っている彼の負担にはなりたくない。

【ちょっと気分悪くなっただけで、今は大丈夫!ありがとう】

それだけ打って、メッセージを送信する。
私はまだ京治くんに甘えられずにいる。


  
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