Cloudy weather

ずっとずっと好きだった。今でも好き。梟谷に来たのだってそう。
中学一年の時、入学したてで名簿順に座った席の隣にいたのが赤葦だったの。その時一目惚れして、それからはずっと赤葦しか見てない。二年からはクラスが離れて委員でしか話す機会があんまりなかったけど、部活だって見に行ってた。バレーをしている赤葦は普段よりも格好良くて、もっと好きになった。



つらつらと、優里ちゃんが話すことが上手く頭に入ってこない。そんな、こと…私、知らない。



「ずっと好きなの、なまえより前から」

『っ、』

「私のほうが先に好きになって、赤葦と話す機会まで自分で作って、もっと近づきたいって必死に頑張った…なのに」



話しながら私を睨むようにして続ける。



「…私よりも後から気付いて、運良くクラスまで三年間同じになったなまえは、何の努力もしないで赤葦と付き合った」

『っそんな…こと』

「私のほうが倍頑張ったのに。私のほうがずっと好きなのに」

『……、』

「…高校に入るときだって。なまえと赤葦が別れる少しの可能性に賭けて、梟谷に進んだの……でも、やっぱりそんな直ぐには別れなかった」

『ゆり、ちゃ…』

「やめてよ。私初めからなまえのこと友達として見てない。ずっと羨んで、嫉妬してた。気付かなかったでしょう?」



その通りだ。
だって、貴方は私と話すときはいつも笑顔だったから。



「…友達のフリして、なまえがどんな人間なのか観察してた」

『か、んさつ…?』

「何処かに、赤葦と付き合っている事に納得できるところがないか探してたの」



騒いでいるクラスメイトがいる中で、私達の会話を聞いている人は多分居ないだろう。…ここだけ、空間が違うかのように空気が冷たい。



「探したけど、納得出来るところなんで一つもない」

『っ!』

「何で、アンタが赤葦と付き合ってるのかわかんない」

『…え、』

「だから、私」



これからはもう友達じゃないから。

今まで向けられたことのない視線に、ゾワリと寒気がする。
どうしてこんな事になってしまったのか自分でもわからない。…でも、きっと私が優里ちゃんの気持ちに気付けなかったのが悪い。



「だから…もう名前も呼ばないでくれる?」

『…あ、』

「話しかけても来ないでね、正直もう限界だから」



初めからアンタのこと気に食わなかった。
そんな事、誰かに言われたことない。……数日前まで、平凡な日々を過ごしていたはずなのに、この日から私の高校生活は一変した。

  
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