【梟谷学園】
練習試合当日。梟谷学園に着いた私達は、出迎えてくれた赤葦くんによって体育館に案内された。
「みょうじ久しぶり」
『うん、久しぶり!』
「赤葦、木兎は?」
「木兎さんなら張り切って練習してますよ。今日はみょうじにカッコイイスパイクを見せるとか言って絶好調です」
「…おいおい、マジか」
私の方を睨んでくるクロ先輩からスッと視線を逸らす。元々はクロ先輩のせいなんだから、私は悪くない。
「…なまえが何か言ったの」
『…言ってないヨー』
クロ先輩の視線に気付いた研磨も私を軽く睨んでくる。勘弁してよただでさえ腕がもげそうになるのに、と言った研磨にクロ先輩が絶対避けんなよと声を掛けると研磨は黙ったまま返事をしなかった。
「じゃあ、荷物は何時もの所にお願いします」
「おー」
「なまえは水道の場所教えようか?」
『お願いします』
「じゃあ、こっち」
荷物を置いてから、赤葦くんに連れられて水道を目指す。赤葦くん慣れてるなぁ。いつも木兎先輩じゃなくて、赤葦くんがこういうのやってるのか。副主将は大変だ。
「ここ」
『あ、ありがとう』
「あと何か分からない事とかあったら俺に聞いてくれればいいから」
『うん、助かります!』
「じゃ、今日はよろしくね」
『はい!』
体育館に戻る赤葦くんを見送って、今日もみんなの足を引っ張らないように頑張ろうと意気込んだ。
ボトルの準備をし終わって、体育館に持っていくともうすぐ試合が始まるらしく椅子に座っている猫又監督に呼ばれて、ボトルを置いてボードを持って走って行く。
「今日も頼むな」
『はい』
「さて、今日は勝てるかねぇ」
『梟谷は強いですか?』
中々苦しい表情をして言った猫又監督にそう聞くと、隣から直井コーチが「うちがまぐれ勝ちがあるくらいかな」と苦笑いして言った。梟谷ってそんなに強いのか、とボードを握る手に力が入る。
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