【初めてのおつかい】
『ふくろ、たに』
「梟谷」
『…梟谷』
「そ、知ってるだろ?」
『そりゃ、まあ…名前は』
「ちょっとそこに行って欲しいんだけど」
『え、一人でですか』
「いや、適当に誰か誘ってもいいし、一人でもどっちでもいいけど」
『何をしに行くんですか?』
「これ、渡して欲しいんだよ」
『?何ですかこれ』
「向こうに渡さねーといけないやつ。次の練試までに」
『こういうのって監督とか…』
「前に頼まれたときにさ、向こうの主将と会う予定あったから俺が預かったんだけど、結局会えなくてさぁ」
『…今日先輩が行けばいいじゃないですか』
「そう思ってたんだけど、俺これから面談」
『えー…』
「まあ、研磨とか誘ってもいいし、頼むわ」
『えー…』
「ココア奢ってやるから」
『…い、きます』
「よし、じゃコレな」
『誰に渡せばいいんですか?』
「監督……居なかったら赤葦」
『あかあし?』
「あー、研磨に聞けばわかるんだが、副主将でお前と同じ歳」
『なんで主将じゃなくて、副主将なんですか?』
「そりゃお前……行けばわかる」
『…とりあえずあかあしさんに頼ればいいんですね』
「おう。…で、その赤葦の特徴は、」
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