【勝ちと負け】
「強いスパイクを打てる方が勝つんじゃあないんだ」
「ボールを落とした方が 負けるんだ」
「これが、繋ぐ≠ニいうことだ」
猫又監督の落ち着いた声を聞きながら、研磨の拾ったボールを目で追うと、それは烏野のコートに静かに落ちた。
試合終了のホイッスルが鳴る。セットカウント2対0。音駒高校のストレート勝ちだ。…ストレート勝ちと言っても全然余裕のある試合ではなかった。自分で書いたノートを見返して、烏野が成長途中なら、次はもっと苦しむかもしれないと考えた。
「もう一回!!」
「『!』」
翔陽が此方に向かって大きな声でそう言った。それに対して猫又監督も「そのつもりだ」と笑って、もう一度、試合が始まる。隣の優くんと目を見合わせて笑ってから、新しいページを開いて、スコアを記録する。
…結局、それから2試合やって、2試合とも音駒の勝ち。もう一回と声を上げた翔陽に烏野のコーチが止めに入り、私達も新幹線の時間があるという事で烏野との練習試合は、これで終了した。
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