【虎くんの場合】
「なまえちゃん気をつけてね」
『え?』
「ほら、山本女子に耐性ないから」
『あ、はい?』
「あんまり刺激しないようにねー」
それだけ言って布団を畳んだ夜久先輩は朝ごはんを食べる、と部屋を出て行った。
刺激、てどんなことが刺激なのかさっぱりです夜久先輩。あんまり触っちゃダメってことですか。うーん。
『虎くん』
「………」
『とーらーくーん』
「………」
起きないですよ夜久先輩。早く帰ってきてください。どうすればいいですか。
一度離れて腕を組んで少し考える。とりあえず、アレだ。触らなければセーフですよね先輩。
出来る限り虎くんに近付いて声を少し大きめに出して言う。
『朝だよ虎くん起きて』
「……んあ?」
薄く目を開けて寝ぼけた声を出した虎くんにすかさず話し掛ける。
『おはよう虎くん、朝ですよー』
「……っえ、あ、おはよう、ございます?」
『うん』
「え、え!?なんっなに…!」
凄い勢いで起き上がった虎くんは私を見て口をぱくぱくさせながらそう言った。あ、声のデカさに招平くんが起きちゃった。おはよう。そう声を掛けると招平くんは眠たそうに目を擦りながら頷いた。
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