【夜久先輩の場合】
『夜久先輩すぐに起きそう』
「怒られないようにね」
『フラグ作るのやめてよ研磨』
やっぱり先輩だし、普通に起こしたほうがいいよね。
優しく肩を叩きながら名前を呼ぶと先輩の眉間に皺が寄る。そーっと人差し指をその眉間の皺に当ててぐりぐりとするとゆっくりと瞼が開いた。
「な、んだよ…」
『っあ、おはようございます』
「え?」
私の顔を見て、目をパチパチとさせる夜久先輩に手を掴まれる。あ、やばい。
「…なまえちゃん何してるの」
『…ごめんなさい』
腕を掴んだまま起き上がった先輩に思わず正座をして謝る。溜息をついた先輩を見ると、さっきと同じように眉間に皺が出来ていて、反対の手でもう一度触る。
「え?」
『あ、えっと、皺が』
「しわ?」
『先輩眉間に皺が寄っていたので、のばそうと、思って…ごめんなさい』
もう一度謝ると、掴まれていた腕が離されて頭を撫でられる。下に向けていた顔を上げると夜久先輩は笑って言った。
「起こしてくれてありがとな」
『っはい!』
私も笑って返事を言うと夜久先輩はまた不機嫌そうな顔になってボソリと言った。
「どーせ、黒尾だろ…」
クロ先輩って日頃の行い余程悪いんだなぁ。
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