【研磨の場合】
『…けんまー』
「………」
『やっぱ名前呼んだくらいじゃ起きないよね』
すうすうと規則正しい寝息を立てる研磨の顔をじっくりと観察してから携帯を取り出して写真を一枚。もちろん無音だ。うーん、こうしてみると女の子みたいだな研磨。髪さらっさらだし。
研磨の肩をトントンと叩くと、寝顔が少し歪んだ。…うわ、楽しい。
『研磨、研磨、朝ですよー』
「…んん、」
『おきておきて』
「や、だ」
『起きなきゃいたずら!』
そう言っても研磨は寝返りをうつだけで起きる気配がない。しょうがないな。確かポッケに…。あ、あったあった。
研磨の髪を上で束ねてゴムで縛る。え、やだ可愛い研磨。
『っけ、けん…研磨っふふ』
「………?」
耐え切れずに笑いながらそう言うと布団がピクリと動いて、やっと目を開けた研磨が私の顔を見る。っちょ、ほんとやばいよ、研磨…かわいすぎ。
『っお、おはよう』
「……何してるの」
『や、みんなをっ……起こそうと思って、ふ』
「何で笑ってるの」
寝起きなのにパッチリと目を開けて私を見てくる研磨に、口に手を当てて必死に笑い声を抑える。研磨も不思議に思ったのか、違和感があったのか、手をおでこあたりに持って行き、私を睨む。
「…なまえ」
『だって、研磨起きないから』
「ちょっと、来て」
『え、いやだ』
「来て」
『…ハイ』
研磨に近付くと、自分の頭から取ったゴムで私が研磨にしたように私の前髪を上で結んだ。研磨器用だなぁ。
「いいよ」
『研磨結ぶのうまいね』
「普通でしょ」
『研磨起きたし、次誰にしようかな』
「クロに言われたの?」
『うん、よくわかったね』
「クロが考えそうなことだから」
『流石幼馴染』
じゃ、次は夜久先輩にしよ。
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