【こんなはずでは】
『あ!?』
「………」
「どーしたなまえ、研磨」
どうしたもこうもない。クロ先輩私と研磨に黄色ないの知ってるでしょこれ。なんで直前で色変えるの…!
「UNO!」
「何!?」
走くんの大きな声に虎くんが反応する。やっぱり抜かれてしまった。それもこれもクロ先輩のせいだ。誰か向き変えてよ。
「………ん」
「お!?」
走くんの出したカードを見て招平くんが手持ちカードを指さした。え、今招平くん声出さなかった?
「UNO!」
『………おかしい』
何このUNO祭りは。クロ先輩も舌打ちをしたけど、普通にカードを出す。
『っえ、ここでプラス4ですか!?』
「ここで出さなくていつ出すんだよ」
「…クロわざとでしょ」
「さあ、なんのことだか」
すました顔で口笛を吹いたクロ先輩を横目に唇を噛み締めながら4枚引くと、今度は黄色だけじゃなくてほかの色もあったけど、全部記号だった。今回もプラスはない。
「クロ、何色?」
「じゃあ、赤」
『研磨どれ出す?』
「これ」
そう言って研磨が出したのは矢印の書いてあるあのカード。え、だってそうしたらクロ先輩に戻っていっちゃうけど、いいの研磨。
『え、だって赤って』
「はい、クロ」
研磨の出したカードに口笛を止めたクロ先輩は口をヒクつかせながら研磨を見る。
「…研磨」
「ないんでしょ赤」
『え?』
「んだよ、バレてたのか」
『え?はい?』
はあ、と溜息をついたあとにカードを引くと、そのままそのカードを出した。…運良く赤を引くなんて。私が引くと黄色ばっかりなのに。
「あ、俺達あがりっす!」
『え』
クロ先輩の出したカードを見て虎くんが最後のカードを出して上がってしまった。うわあ、何してくれてんですかクロ先輩。
「僕達もあがりです!」
『!?』
優くんの声にびっくりする。うそ、あっと言う間に私たちとクロ先輩だけになってしまった。…ビリだけには、なりたくない!
『…研磨』
「…わかってる」
とは言っても最後に出されたのは赤の6だ。赤色はもうないし、6も持っていない。中央から1枚引くと、今度は黄色の6が出てそのまま中央へ出す。やった、黄色に変わった。これで…、
「ほら」
『「!?」』
すっと出されたのはプラス2のカード。嘘だ…この人まだプラスあったんだ…。中央から2枚引いて研磨の手に持たせてから、黄色の2を適当に出すと、すかさずクロ先輩が2枚のカードを出して言った。
「あがり」
「え」
『うそ』
「残念だったな、これで終わり。お前らの負け」
ニヤリと笑ったクロ先輩に研磨はカードを手から落として、私は固まる。
「お、結局誰が最下位?」
「研磨となまえ」
「あちゃー、どんまい」
1位で抜けていった夜久先輩が試合の結果を見に近くまで寄ってきてそう言った。ちなみにほかの人達も自分達があがったときから自分の好きなことをしている。
『ま、まけ…』
「………」
研磨と二人で敷いてある布団に倒れ込んだ。
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