【そんな馬鹿な】


『す、すごい…!』

「…うん」



研磨と二人でカードを覗いて驚いている。黄色ばっかりだった私達のカードは、どうしてなのか着実に減っていっている。色が赤や青、緑になっても何故か同じ数字のカードがあったりして。もしかしたらこれ勝てるんじゃないの。
今手持ちカードが一番多いのは走くん優くんペアだ。みんなの倍くらい持ってるんじゃないかな。その次に虎くん招平くんペア、クロ先輩、夜久先輩海先輩ペアだ。あ、夜久先輩達あと2枚だ…!



「はい、UNO!」

「え!?」

「はやくないっすか!?」

『やばいよ研磨!』



研磨の服を掴んでそう言うと、研磨が嫌そうに「わかってる」と言った。焦っているのはペアを組んでいる人だけで、クロ先輩は涼しい顔でカードを見ている。…まだクロ先輩からは何もされていない。だから、怖いんだ。そのうち、きっと。



「何だ…何なんだ…最後の一枚は…」

「山本ー、考えても無駄だって」

「そうだよ」

「っく…!」



悩む虎くんの手から、スっと招平くんが一枚カードを抜いて前に出す。黄色の、3。



「っし!」

「あがり」



夜久先輩の声と海先輩の声に、みんな固まる。え、嘘、はやい。



「っああああ、ちくしょう!」

「………」

「福永さんきゅー!」



これで、残るは4チーム。1位は無理だったけど、2位になれるチャンスはまだある!



「黄色の5かー」



隣で呟いたクロ先輩は、自分のカードを見てから中央に手を伸ばす。なるほど、クロ先輩黄色ないんだ。それと違って私と研磨は黄色が来たら最強だ。ふふんと自慢げにカードを出してやると、みんなが少し焦る。よし、これで私と研磨は持ちカードがこの中で一番少なくなった。



「黄色きた!」

「やった、じゃあこれとこれと…」

「え?ちょ、ちょっと待てよ犬岡!?お前何枚出すつもりだよ!?」

「え、だって出せますよね?これ」



ざっと8枚くらいある黄色の1から始まる前色の1の数字。え、なんでこんなに揃ってるの。



「オイ、なまえ!」

『っえ!?ちゃんと切りましたよ私!』

「あ、ちゃんと切ってあったと思いますよ?途中から引くカードがたまたま全部1だっただけで…」

「…すごい」

『感動してる場合じゃないよ研磨!』



しまったこのままじゃ走くん達に抜かれてしまう!
そうは思っても私達は黄色が回ってくるのを待つしかない。くそう。
その後、虎くんが青色に変えてしまってクロ先輩に回ったけど、クロ先輩は普通に青を出してしまったから、数字を確認したけど私たちは出せなくて、一枚カードを引く。……もう黄色しか出ない。



『…ごめん研磨』

「…別に」



ううん、どうも私は引きが悪いらしい。次は研磨に引いてもらおうかなと口を尖らせていると、視線を感じて隣を向く。



『なんですか』

「いーや?何も?」



ニヤニヤとこちらを見てくるクロ先輩に私と研磨は冷や汗しかでない。嫌な予感がする。


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