【気になるあのこ】


『あ、先輩、もう一人小学生来ました』



私の言葉にクロ先輩も先程から後を追っている小学生に目を向ける。どうやら小学生は待ち合わせていたらしく、遅れてやってきた小学生に対して文句をぶつけている。黙ってクロ先輩と聞いていると、小学生の口から聞き捨てならない言葉が飛び出した。



「さっきもあっちの空き地んとこで、ゲームしてる金パツ赤ジャージの不良いたし」



私もクロ先輩も少年のその言葉に反応して、小学生の後を付けるのをそこまでにした。



『…クロ先輩』

「…あっちの、空き地ね」

『研磨が目立つ格好しててくれて良かったですね』

「本当にな。つか、あっつい」

『う、わ』

「持っとけ」



繋いでいた手を離してクロ先輩の着ていたジャージをしっかりと持つ。前を歩く先輩に離れないように付いていくと、先輩が立ち止まった。



「ビンゴ」



先輩の後ろから覗いてみると、オレンジ色の頭をした男の子と研磨が何か話していた。誰だろうあの子。……それにしても研磨が、見ず知らずの人と普通に会話をしているなんて。



「研磨!」

「あっ、クロとなまえ」

「…ったく」

『クロ先輩、あの子誰ですかね』

「は?知らねーよ、気になんのか」

『だってあんなに研磨と親しげに…!』



見てくださいよ!とオレンジくんに手を振っている研磨を指差すと、クロ先輩に人差し指を掴まれて「指差すな」と怒られた。だってだって、あの子いったい誰なんですか。こちらに歩いてきた研磨よりも私はあのオレンジくんのが気になります。



「勝手にフラフラすんな」

「ごめん」

『研磨。あれだれ?』

「…翔陽だよ」

『ショウヨウって誰』

「いいからはやく行こう」

「お前よく知らない土地でフラフラ歩けたな。しかも荷物持って」

「…ゲームに夢中だったから」

「馬鹿だな」

『馬鹿ですね』

「なまえには言われたくない」


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