【挨拶します】


…1組の、モヒカンの、山本猛虎くん。
モヒカンって何だモヒカンって。



『?あの、もう一度言ってくれますか?』

「あ?だから、モヒカンだよモヒカン」



クロ先輩が何を言ってるのかわからなくて二回聞き直してしまった。
私の学年にモヒカンなんていたんだなぁと考えながら1組にたどり着く。廊下から教室を覗くと、みんなバラバラになっていろんな人と話している。うーん、モヒカン、モヒカン………あ、



『山本くん!』

「!?」



あれ、おかしいな。何でみんな急に静かになったの。もっと騒いでてくれていいんだけど。これじゃ、話しかけづらいじゃないか。



『え、』

「っな、な…!」

『や、まもとくんで…合ってるよね?』

「そそそそ、そぅっス…けど、え!?」



何故か吃りまくっている山本くんに静まり返る教室。何だかみんなに注目されている気がするし、会話を聞かれている気がして落ち着かない。山本くんの制服の袖をぎゅっと掴んで人気のないところまで引っ張っていくと、教室がまたざわつき始めて、山本くんは足がもつれている。何なんだこれは。



『よし!ここならへいき!』

「っえ、あの、ハイ!?」

『あ、私研磨と同じクラスのみょうじなまえって言います!』

「…あ、研磨?」

『うん、それでね?』



手を前に差し出して、笑顔で山本くんに言う。



『今度から男子バレー部のマネージャーになります、よろしく!』



何故か顔を真っ赤にした山本くんは震える手で私の手を握った。


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