「それで岩ちゃんなんて言ったと思う!?」
『………』
突然私の家に押しかけてきた及川はズカズカと家に上がり込み、私の部屋に来るとなんの遠慮もなくベッドに腰を下ろした。呆然とする私を無視してペラペラと岩泉の文句を言い続けている。…なんなんだ。
「ちょっと聞いてんの名前!」
『…聞いてる聞いてる』
「何そのいい加減な返し!!」
『及川は何しに来たの…』
「…彼女の部屋に来るのに何か理由がいるの」
『いや、それはいるよ』
即答でそう返す私に「なんで!!」と更に喚き始めた及川に頭が痛くなってくる。私なんでこんな面倒臭い人と付き合ってるんだろう。
「大体岩ちゃんも名前も俺のことなんだと思って、」
『…徹』
「!な、…に……?」
ベッドに座る及川に近付いて、その肩を軽く押すと簡単に倒れた及川に「ちょっと、黙って」と言うと一瞬驚いた顔をした及川は次第にニヤニヤとし始めた。
「名前呼んでくれたね?」
『えぇ…そこ…』
「っていうか、男をベッドに押し倒すとか大胆すぎるんだけど」
『…え、いやごめん押し倒したつもりは…なっ!?』
倒れた及川を見下ろすようにして話すと、及川の長い腕が伸びてきてそのまま私の背中に手をやって及川胸にダイブしてしまう。すぐに離れようと及川の胸に手を当てて押し返そうとするけど、私の力じゃ及川の力に敵わない。
『っ…ちょっと!』
「名前可愛いなぁもう」
『は、なせ!!』
私の話を全く聞いてない及川は更に腕の力を強めていよいよ離れられなくなる。…ああ、もういいやと観念して大人しくすると気を良くした及川の口から聞こえてきた声に、私はまた及川の腕から逃れようと暴れ始めた。
「よし、しようか」
『しない!!!!』
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