『う、…ん?』



目を開けると視界一杯に綺麗な青色。ぼーっとする頭でここは何処だと考えながら記憶を遡る。あ、そういえばみんなでお弁当食べようって、それで…。



『って!授業は…!』



一気に目が覚めて身体を起こそうと力を入れるけど、びくともしない。なんだこれ。
右側を見てみると、気持ちよさそうにスヤスヤと眠っている紫原がいて、腕を掴まれていた。左側を見てみると、私の腕に巻きつくようにして黄瀬が眠っていた。ちょっと、意味わかんない。



『ねぇ、紫原、起きて』

「んー…?」

『ちょっと、今何時なのかわかんないけど、授業始まってるんじゃないの』

「……、」



私の言葉にむくりと身体を起こした紫原は、まだ意識がはっきりとしていないのか眠そうな目で私を見つめてきた。



「…名前ちん?」

『良かった起きてくれ、』

「おいしそう」

『は、』



私のほうを見て、確かにおいしそうと言った紫原の顔がだんだん近付いてきて、逃げようにも片方の黄色のせいでうまく動けない。ぎゅっと目を瞑ると、耳に軽く息がかかったのがわかって驚いたのと同時に、噛まれた。



『いっ、ぅあ』

「あまい」

『っなにやってんの馬鹿!』



舌なめずりをして笑う紫原に一発殴ってやろうかと思い、左腕にからみついた腕を振り払おうと思い切り力を入れた。



「あーっ駄目っス!離れないでほしいっス」

『…は?』

「あと、もう少し…っスから」



そう言って再度力を込められた腕はもう解けそうにない。ため息をついて紫原のほうを見ると、さっきまで起きていたはずの巨体はまた小さくなって眠っていた。…もう面倒だからいいや、と私もまた空を見上げた。


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