第11話
『…友ちゃんのせいだ』
「はあ?」
机に腕をついて頭を抱えてそう言うと、前の席の友ちゃんが意味がわからないというように私の顔をみた。真っ直ぐに見てくる友ちゃんから少しだけ視線を逸らして口を尖らせる。
『へんに、いしき、しちゃうから』
「え、もしかしてこの前の話?」
『そうだよ!』
「うわ、まじか」
『…もう、どうするの、自然に話せないよ』
そのまま頭を机の上に乗せてしまうと、優しい手つきで頭を撫でられる。
『なにしてるの』
「なまえかわいいなって」
『…意味わからない』
「私の一言で意識し始めちゃったんだー?」
『そう、だけど』
「好きなんだ?」
『…わかんないよ、そんなの』
「ふーん?」
『ただ』
「ただ?」
『…離れていっちゃうのは、寂しいかな』
もしもの話。透に彼女が出来てしまったとして、学校からの帰り道私と秀の二人だけになってしまうのだろうか。もう、私は透の家に何度も遊びに行っては行けなくなるのか。…そう考えたら、やっぱり寂しいな、なんて。別に秀に不満があるわけじゃないけど、いつも一緒だったから。
「ふーん?」
『ニヤニヤしないで』
「おっと、ごめん。つい」
透のことを好きか、嫌いかで聞かれたら、やっぱり好き。だけど、その好きに恋愛感情が入っているのかどうかはわからない。なんか難しすぎて知恵熱が出そうだ。はあ、と溜息を吐いた所で次の授業開始の鐘がなった。
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