むらさきいろの焦燥感



蘭「東くん…てさ、彼女とかいるの?」




東「…いるよ」




蘭「えっ!?嘘!」




そりゃ驚くのも無理ないかぁ、と耳をそちらに傾けたまま宿題をやる向かいの東健太郎くんの彼女、私。





鈍感な蘭ちゃんはやはり気づいていないようで、首をかしげる彼女につい口元が緩む。





蘭ちゃん、倉田くんも犬寺くんも気づいてるんだよ。





蘭ちゃんだけだから。





暫くして考えるのをやめた蘭ちゃんは先に帰ってしまった。





元々他の二人は用事があったらしいし、今では教室にいるのは私達だけ。





困ったな。





久々の二人きり。





東をみてみると視線が窓の外。





あぁそうかい。





彼女の私には興味がないと。





そう思っていたら視線が不意に交わった。





東が小さく呟く。





東「さっきみたいな質問にはどう答えればいいんでしょうか」






さっきみたいな質問というのは蘭ちゃんの質問だろうか?






『否定してもいいけど中学生の照れ隠しじゃないんだから』






東「そすか」





『なに、別れたくなった?』






東「…さぁ?」






さぁ?って。






そんな東の冷たいところは付き合う前から変わっていない。






これでも不安なのに、こっちの気持ちがわかってるんだかわかってないんだか。






再び東をみてみると今度は私のプリントに視線が落とされていた。





すっと東の長い指が問3で止まる。






東「ここ間違ってるぞ」






『え、うそ』






東「ここはー…」






そこから約2分間の説明。






分かりやすいなぁ。






『ありがとうございます。お陰でわかった…』






東と私の顔のあげるタイミングがシンクロして顔と顔の距離が5センチちょい。






ガッチリと目があった視線はどちらもそらさない。






するとすこし首をかたむけて口づけしてくる東。






そのあとゆっくりと目を開けて1センチだけ唇を離した。






『珍しいね、東からなんて』






東「あ?…お前が別れたくなったのかとか不安げに聞いてくるからだろ…」






少し掠れた声とともに、二度、三度と口づけをされた。






(別れる意思のないことを)
(頬を伝う掌が証明している)






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蜂谷さま素敵な文章ありが
とうございました!(^ω^)
これからもsky,starをよろ
しくお願いします!




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