ううつ




もう、なんで気付いてくれないかな。



『いうらぁー』

「なにー?」

『…なんでもなぁーい』



変なのー。なんて言ってくる井浦の前で、えへへーと笑って見せる。



「あ、石川ー。俺のさー」



…あ、行っちゃった。
一緒にいると、何を話せばいいのかわからなくて。うまく話ができないんだよなぁ。
今は、運がいいことに井浦は私の隣の席で。話そうと思えばいつだって話せる距離なのに…。でも井浦は授業が終わるとフラフラーっと他の教室に行っちゃうからなぁ



『…はぁ』



私、井浦のこと考えすぎだよ気持ち悪い。よし。次の授業はちゃんと集中しよう。いつもみたいにずっと横目で井浦を見るのはやめよう。
鐘がなって、いつも通り授業が始まる。先程決意した私はしっかりと教科書ノートを出して前を見る。
さて黒板を写そうかと思っていると横から手が延びてきて、トントンと机を叩かれる。
…私の、隣は



「ねぇねぇ。消しゴム貸してー」

『っ、…どうぞ!』



やめてよ。そんな笑顔で話し掛けないでよ。うわ、顔赤いな絶対。井浦に顔を見られないように顔をふせる。
授業中、結局私は隣が気になって授業なんて頭に入らなかった。次の席替えまであと少し、私の憂鬱は続きそうだ。





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