友達はみんな彼のことを暑苦しいだとか、うるさいとか言うけれど、別にそんなことはない。普通に会話だってできるし、顔もイケメンだよ。
何が言いたいかって、私笹木先生超タイプです。
『先生、先生』
「どうした?お前部活は?」
『今日休みでーす』
「みょうじは何部だったっけか」
『………帰宅部』
「なに!?」
そう言って私のすぐ近くで叫んだ先生。…いや、うんちょっとうるさいけど、慣れればこんなものへっちゃらですよ。っていうか、私は先生と部活の話をしにきた訳ではなくってね…!
『そうじゃなくてね、先生!』
「お前何か部活やらないのか?」
『いや、あの』
「しょうがないな!俺がお前に合った部活を選んでやろうか?」
いや、それはそれで嬉しいです。私先生が選んでくれる部活だったらなんでもやっちゃおうかな。なんていったって先生が選んでくれる部活だ。"先生"が私の"ために"選んでくれる部活なんだ。一人でへらへらと笑っていると先生は突然私の腕を取り言った。
「よし!今から俺と一緒に部活巡りだ」
『っえ!?』
えええええ、確かに先生に部活選んで欲しいとも思ったけど、今日先生に話しかけたのには別の用事があるんだよ先生!
ぐんぐんと私の腕を引いて歩く先生の後を必死で追う。ちょっと、これ周りからみれば私が引き摺られてるみたいだけど。私はそれどころじゃないよ!だって見てよ!先生の手と!私の手が…!
『っ…先生!』
「?おー、悪い。歩くの速かったな」
そう言って私のスピードに合わせて歩いてくれる先生に、どくんどくんと握られた腕に熱が集中していく私。うわぁ、どうしようどうしよう。先生かっこよすぎて死ぬよ私…!ああ、もうこのまま言っちゃおうかな、なんて先生の顔をチラリと見上げると、先生はそれはもう熱心に色々な部活の説明をしながら歩いていた。申し訳ないけど、私の耳には全く届いていない。…もう、言っちゃおう。
「それでな、みょうじ………みょうじ?」
『……先生。ちょっと、屈んでもらえますか』
「?」
私が少し俯いてそう言うと、先生は「なんだ体調でも悪くなったか?」と聞きながら私と目線を合わせるように屈んでくれた。近くなった先生との距離に心臓が破裂しそうになりながらも、私は勇気を持って先生の頬に顔を寄せる。少し唇に何かが触れた感触がしたあと直ぐに顔を離して、言った。
『先生のことずっと好きでした。私が卒業したら、付き合ってください…!』
目をぎゅっと瞑りながら告白をして、言い終わってから、ゆっくりと瞼を開けると、真っ赤な顔をして頬を手で押さえている先生が居ました。
♯廊下で立ち尽くす。
(え、先生…え!?)
(っ…!)