♯
『赤司くん、赤司くん』
「………」
『あか、………せーじゅーろーくん』
「なんだ」
『別に苗字でも良くない?』
「じゃあ、僕も苗字にさん付けで呼んでやろうか」
『すみませんでした』
「素直な子は好きだよ。で、用件は?」
『っ、なんでそう…、』
「用件は?」
『……あの、さ』
「うん」
『ひゃ、』
「?」
『……100円あげるから、キスさせてくれませんか』
「………は?」
『ちょっと、待って、ごめんやっぱり今の無し…!』
「………」
『うわぁあああああ、黙らないでよ…!』
「………な、」
『え?』
「安いな」
『……はい?』
「残念だけど、僕のキスは100円じゃ買えないよ」
『う、は…い?えっと、あの、冗談だよ征十郎…?』
「…だから、僕がお前のキスを買ってやろう」
『!?』
「何円払えばいい」
『え!?ちょ、ちょっと、近…っ』
「どうした?お前が言ったんだろう?」
『いや、そ、そうだけど…!半分冗談で、』
「聞こえないな。まぁ、お前の初めてのキスが貰えるなら何円でも払うが」
『っはじめてなんて言いましたっけ!?』
「お前のことなら何でもわかるさ」
『…………帰ろう』
「今日は何処か寄るんじゃなかったのか」
『…征十郎部活で疲れてると思うからまた今度』
「っはは」
『なんで笑うの!』
「いや、可愛いと思って」
『!?』
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