*とりゅふ(柳)




「…さすがに多すぎ、ますよね」

『うわ、あかねくんすごいね…』

「はい…」

『これ全部食べるの?』

「そのつもりです」



あかねくんは困ったように笑った。
あかねくんは優しいから、いらなくても断れないんだ。多いって言ってるのに私が今からチョコあげたら困っちゃうよね…。



「あ、僕に何か用でしたか?」

『あ…っと、なんでもないの』



私は素早くチョコを後ろに隠した。きっとあかねくんにはばれていないはず、だよね?



「?そうですか」

『あぁ、ごめんね?帰るところを呼び止めちゃって…』

「全然いいですよ」

『えと、…うん。ばいばいあかねくん』

「あ、良かったら一緒に帰りませんか?」

『え?わ、私?』

「はい。…あ、嫌ならべつに」

『!…い、行くよっ。一緒に帰る!!』

「じゃあ、帰りますか」

『うん』



そして私は運がいいことにあかねくんと一緒に帰ることができた。歩いている途中、あかねくんから色々な話を聞いた。いつも一緒にいる友達の話が多かった。

そんな楽しい時間もあっと言う間に終わってしまい
もう私の家の前。…あぁ、私の家があかねくんの家の隣だったら良かったのに



『わざわざここまでごめんね?』

「いえいえ、いつもこの道を通って帰りますから」

『そうなんだ。』



あぁ、バイバイって言いづらいな
もっと一緒に居たいな
もっとあかねくんと話していたいな



『…あ、じゃあ…』

「さっきから気になってたんですけど、手に持ってるのなんですか?」

『え、?……あ!』



わ、忘れてた…!
学校から手で持って歩いて来ちゃったよ!!
恥ずかしいっ



『う、あ…これは、えっと、その』

「…大丈夫ですか?顔赤いですよ?」

『え、えぇ!?』

「嘘です」



そう言って私の顔を覗き込んできた。…な、なんかあかねくんが意地悪だ。
もう、隠しようがないし、言ってしまおうか



『あの、ね…これあかねくんに作ったんだけど…迷惑、だよね?』

「え?僕に、ですか?」

『あ、別に受け取ってくれなくても…』

「っ、貰います!!」

『え…』

「あ、いえ、その…貰ってもいいですか?」

『貰ってくれるの?』

「はい!」

『っ、よかっ…たぁ』

「えぇ!?どうしたんですか?」

『うぅ…貰ってくれるのが、うれ…しくて』

「大丈夫ですよ。…それに、」

『…?』



次にあかねくんが言った言葉で私の頭はフリーズした。



「…僕も嬉しいです。好きな人から貰えることができて」






―あの、トリュフなんだけど、食べれる?―









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