(谷原)




『うわぁ、寒いー』

「ちょ、なんで俺の隣に入ってくんだよ!」

『いいじゃん、もっとつめて』



そう言ってコタツのせまい場所に無理矢理入ると、やっぱり窮屈だった。でも、マキオの隣が良かったんだもん。ちょっと我慢しよう。



「…今年は日曜日なのか」

『何が?』

「ポッ○ーの日」

『え、マキオもそういうの気にするの?』

「違ぇーよ。兄ちゃんが彼女連れてきて邪魔なんだよ」

『あぁ』

「でも、今回は家じゃなくて、どっかに出かけてくれたからいいんだけど」

『よかったねー』

「てか、やっぱせまくね」

『やだ。マキオの隣がいい』



そう言うと、すごい勢いで顔を赤くするマキオ。髪が短いから、真っ赤な耳も見ることができる。



『照れてるー』

「…うっせ」

『じゃじゃーん』

「は、」

『実はね、マキオにあげようと思ってポッ○ー買ってきたんだよね』

「え、まじで」

『食べる?』

「食う」



箱を開けて、中の袋を取り出して破る。マキオの口の近くに持っていくと少し迷いながらも、食べてくれた。



『おいしい?』

「いや、普通のポッ○ーだけど」

『そこはおいしいって言うとこでしょーが』

「えー…」



ぽりぽりと自分も食べると、チョコの味が口の中に広がる。おいしいなぁ。普通の○ッキーなんだけどさ。



「もう1本」

『はい』



ぬくぬくのこたつで温まりながら、テレビを見て、2人でポッ○ーを食べる。なんだか、幸せだ。マキオと結婚とかしたら、こうやってのんびり暮らすのかな。



『うはー』

「なに、寝んの?」

『ううん、寝転がっただけ』

「こたつで寝ると風邪引くって」

『心配してくれてるのー?』

「…まぁ、馬鹿は風邪引かないって言うけど」

『さいてー』



笑って軽くマキオを叩くと、マキオも笑った。
それから、マキオのポッ○ーを食べる音と、テレビの音を聞きながら寝転んでいると、だんだんと瞼が重くなってきて、目を閉じた。







♯来年も買ってこよう。


(マキ、ただいまー!)
(ちょ、兄ちゃん静かに…!)
(あれ、なまえちゃん来てたの)
(…そうだけど。早くどこか行けって)
(あらあら、可愛い寝顔しちゃって)
(まじどこか行けよクソ兄貴)




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