(臨也)




「じゃーん」

『………』



にこにことしている彼の手には、どこかで見たことがあるようなお菓子。彼が笑顔なのに対して、私は全くの無表情で彼を見た。



『ドン引きです臨也さん。そのお菓子を使って何をするつもりですか』

「え?わからないの?」

『わかっているけど、あえて聞いてるんです!』

「ポッ○ーゲーム」

『死んでください。そして、二度と私の前に姿を見せないでください』

「やだなぁ、ほんとは嬉しいくせに」



にこにこにこにこ。一体何が楽しいのか、ずっと笑いながらお菓子を手に、近づいてくる臨也さんに私は後ずさりをするばかり。この人からは逃げれないことくらいわかってる。わかってるけど…!



『ほんっとに無理ですから!なんで私が臨也さんと…!』

「俺がしたいから。…駄目?」

『っ、いやです!!!』



顔だけはいい臨也さん。むかつく。彼の性格さえ知らなければ、喜んで○ッキーをくわえていただろうに。



『臨也さんの信者の人に頼んだらどうですか!』

「俺のファンの子たちは変わってる子が多いからさ」

『あー!近い近い近い!!!』



だいたい、付き合ってもない私がどうしてこんな人の遊びに付き合わなきゃいけないんだ。本当やめてほしい。



「はい、くわえて」

『…いやです』

「いいからいいから」

『ほんと、離れてくれませんかね?』



いやいや言っている私の口に無理矢理お菓子を差し込むと、腰に手を回されてとうとう逃げる手段がなくなった。馬鹿か、私は。



「あ、くわえるのやめたらキスするから」

『………』



キスされるくらいなら、まだこっちのがましだ。…食べ始めた瞬間に折ってしまえばいいのだから。



「いただきます」



そう言ってどんどん近づいてくる臨也さんは、ずっと目を開けて私を見ている。赤くなる顔は仕方がないと思う。顔だけはいいのだから。もうそろそろかなと思い、ポ○キーを折る大勢に入ろうとしたら、臨也さんの手に両頬を挟まれた。



『!?』

「あれ、汗すごいけど、どうかした?」



にやりと言うように笑って、また顔を近づけてくる臨也さんの胸を必死に押すけど、全く動かなくて。こんな細いからだのどこにそんな力があるのかわからない。



「…ねぇ、なまえ」

『っ?』



あと少しで食べ終わると言うときに止まった臨也さんは、顔の距離をそのままに私に話しかける。…えっと、息が、あたるんですけど…?



「俺と、付き合って」

『っは、え?』

「あ、落とした」

『え!?ちょ、待って、…!』



声を発するために開けた口から、見事にポッ○ーは落ちてしまい、変わりに臨也さんの唇が重なった。






♯どういうことなの!?


(説明してください!)
(そのままの意味だけど?俺と付き合ってよ、なまえ)
(っ!?)




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