『い、今なんて…』 「え?だからなまえは臨也くんの誕生日なにあげるのって」 『…待って、今日何日?』 「…3日」 『い、臨也の誕生日は、あ、明日…』 新羅の家へ来て数分。新羅に言われた言葉に驚いている。……いや、だってGWだよ?そんな、臨也の誕生日とかすっかり忘れて遊ぶことばっかり考えてたよ? 「もしかしてなまえ…」 『は、はは…!そんなわけないじゃん!覚えてるよ!』 え、どうしよう。時間ない上に明日友達と遊ぶ予定が普通にあるんだけど……断らなきゃいけないよね、誕生日だもんね、忘れてたなんて知られたら何されるか…。 『…新羅、私帰るね!』 「なんとなく理由はわかったよ」 『臨也には言わないで』 「わかった」 『セルティもお願い』 [もちろん] 新羅の家から出て、とりあえず明日の予定をなくすために携帯を手に取る。友人に理由を話すと「じゃあ、仕方ないね」と言ってくれた。ごめんね、私も楽しみにしてたんだよ。 『…あとは、誕生日プレゼント』 本当に何にも用意してない。ていうか、臨也って何あげたら喜ぶのかわからない。去年だったか、一度だけ臨也は何か欲しいものあるって聞いたら「平和島静雄の死体」って言われて、かなり引いたのを覚えている。そんなの用意できるわけない。ていうか、臨也金持ちだから、私が用意したもの見たら鼻で笑いそう。やばい、普通に想像できてやだ。 『ほんとにどうしよう』 うーんうーん、と頭を抱えながら私は何時間も考え続けた。 ××× 『…それでね、考え出したらもう臨也に馬鹿にされるとこにしかたどり着けなくなっちゃって、臨也の喜ぶことってなんなのかわかんなくって』 「え、俺ってそんなイメージしかないわけ?」 結局、何も思いつかなくて、もう臨也に全てを話すことにした。話し終わると、臨也は呆れたように溜息をはいた。申し訳ない。 『あ、た、誕生日おめでとう』 「…ありがとう」 『えっと、プレゼントは臨也考えて。私頑張る』 「誕生日プレゼントってそういうものだっけ?…まぁ、いいけど」 もう、申し訳なさ過ぎて臨也の顔まともに見れないよ。 『ほんとごめん』 「じゃあさー、オムライス」 『…は?』 「なまえの作ったオムライスが食べたい」 『え、そんなことでいいの?』 「いいの。俺がいいって言ってるんだから」 私の作ったオムライスって、え?ほんとにそんなのでいいの? 何回も私が聞くと「しつこい」と言われてしまったので、臨也のマンションのキッチンを借りることにした………んだけど。 『冷蔵庫何にも入ってないんだけど』 「料理とかしないし」 『えー…。これじゃ作れな、』 「買いにいけばいいじゃん。俺となまえで」 『え、私が買いにいくからいいよ?臨也は待っててくれれば』 「いい、俺も行く」 ××× 『ていうか、臨也いつも食事どうしてるの?』 「あんまり食べないし。食べるとしても外食」 『食べないから太らないんだ』 「そう?」 『臨也はもっと太ったほうがいい』 「えー」 なんて会話をしつつ、カゴの中に食材をぽんぽん入れていく。さりげなくカゴを持ってくれる臨也は優しいと思う。 会計を済ませて、二人で臨也のマンションまで歩く。 『なんか今日臨也優しいよね』 「いつも、ね」 『今日は臨也の誕生日なのに』 「忘れてたじゃん」 『ごめんってば』 「まぁ、俺はなまえがいればいいけど」 『…どうも』 なんとなく恥ずかしくなって話すのをやめると、臨也が荷物を持っていないほうの手で私の手を握った。 ××× 『で、できた!』 「もしかして料理苦手?」 『料理はできるんだけど、オムライスの卵で巻く作業が苦手』 「へぇ」 テーブルに二人分のオムライスを並べて、向かい合わせに座る。 「いただきます」 『どうぞー!』 スプーンを持って、オムライスを口に運ぶ臨也を見る。もぐもぐと口を動かしているのが、可愛らしい。 『ど、どう?』 「上手いよ」 『やった』 「もうちょっと見た目がさぁ」 『いーの!味がよければ』 「んー」 『それにしても、オムライスが食べたいなんて可愛いね臨也』 「はぁ?」 『なんかオムライスってお子ちゃまのイメージ』 「なにそれ」 『…ほんとにこんなので良かったの?』 ぱくぱくと食べ進める臨也にそう言うと、臨也はニヤリとしたように笑ってこう言った。 「なまえは今日だけは俺の言うことなんでも聞いてくれるんだよね?」 『は、』 「これ、食べ終わったら覚悟しなよ」 #HAPPY BIRTHDAY! (え、ちょ、そんなの聞いてな、) (ごちそーさまでした) (えぇ!?) ×
|