(谷原)




『マキオマキオマキオー!』

「っうるせーよ!」

『今日さぁ、何の日か知ってる?』

「はぁ?今日?」



今日は……4月1日。
…あぁ、エイプリルフールか。



『ねぇねぇ』

「…知らね」

『え!知らないの?やった!』

「………」



知ってるっつーの。



『わ、私ねー!マキオが嫌いなんだー!』

「お、おう…」

『?何笑ってるの』

「…別に?」



おっと、あぶね。笑っちゃ駄目だ。騙されたふりしねーと。



『だからね、私マキオが』

「…ふーん。まぁ、俺もなまえ嫌いだし」

『え?』

「いっつもくっついてくるのも嫌だったし。清々するな」



目を細めて、ははっと笑ってみせる。…俺名演技じゃね?俺を騙そうなんて100年はや、い……って、は?



「お、おい!?」

『っ…きょうは、エイプリルフール、な、の』

「いや、あの、(やっべえ!)」

『うわぁああん!マキオが嫌いなんて嘘だばかぁああ!』



うわあーんて、子供か…って冷静にツッコミしてる場合じゃなくて!



『うわぁああん!』

「わ、悪かったって!俺が言ったのも嘘だから!」



手を使って慌てて説明すると、なまえは伏せていた顔を上げて俺のほうを見た。…ほんとに泣いてるし。



『う、そ…って』

「あ、あーっと…」

『……全部?』

「は、」

『嫌いっていうのも?』

「……嘘だけど」

『ふーん』

「ふーんって…」

『私もマキオが好きだよ。嘘抜きで』

「いや、別に好きだとは言ってな…」

『私も好きだよ』

「……俺も好きです」



怖ぇええええ!
めっちゃ黒いオーラ出てたんですけど!なんで俺の周りこんな女ばっかりなんだよ!



『両思いー』

「…そうですね」

『あ、進藤くんとちかちゃんにメールしなきゃ』

「なんで!?」

『え?無事に付き合いましたよーって』

「は、」



無事に付き合いましたよって、



『進藤くんがね、マキオと付き合いたかったら、とりあえず泣いてみろって』

「……っはぁ!?」











#友人にはめられた


(進藤……!)

(マ キ オ と、つ き あ う こ と に、な り ま し た、っと。送信!)




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