今日、今日は静雄の誕生日なんだって。…まぁ、臨也情報だから確かなんだろうな。静雄とは高校一年で知り合って、二年で付き合った。なのに、三年になるまで静雄の誕生日を知らなかったなんて。最悪だ。



『二日も無駄にした…』

「何の話だ?」

『静雄くんの話ー』

「?」



私の隣の席で首を傾げる静雄。可愛いなぁ、もう。…そんなことより、どうしよう。何も用意してないや。静雄は何をしたら喜んでくれるだろう。明日でもいいかな、プレゼントは。とりあえず今日は、おめでとうって言って…



『…あ!』

「今度はなんだよ」

『いい事思い付いた!』

「いい事?」

『うん。覚悟しておいてよね!』

「…何の覚悟だよ」



そりゃ、まぁ、心の準備とか色々だよ。……私もちょっと恥ずかしいんだけどね。

とりあえず、帰るまではいつも通りにしよう。静雄の事だから今日が自分の誕生日だなんて気付いてないんだろうけど。
私がいつも通りに過ごしているのを見て臨也は「シズちゃんも愛想つかされちゃったかな?」と言っていた。私が静雄を嫌いになるわけないでしょーが。

……そして、放課後。



「なまえ、帰るぞ」

『あー…、えっと。今日はちょっと先生に呼ばれてて』

「……また点数下がったのか」

『や、勉強は関係ないよ!』



そういう私に静雄は軽く笑った。……本当は先生なんかに呼ばれてないんだけどね。ごめんね、静雄。



「んじゃ、俺用事終わるの待ってるわ」

『ううん、大丈夫。今日は一人で帰るよ』

「……ほんとに大丈夫か?」

『やだなぁ。大丈夫だってば』



心配そうに聞いてくる静雄に笑ってそう答えると、渋々と教室から出て行った。こういう、少し過保護な所も含めて静雄の事が大好きだ。



『…さて、と』



一人になった教室の窓に近寄って、下を眺める。帰っていく生徒や部活をしている生徒など、まだ結構人がいる。深呼吸をしながら、静雄が校舎から出て来るのを待つ。
暫くして、私の視界に見慣れた金髪が見えた。隣に歩いているのは新羅くんかな?…うわ、なんか緊張してきたな。噛まずにちゃんと言わなきゃ、かなり恥ずかしいよ、これ。もう一度深く、深呼吸をする。…よし、いける。



『っ静雄ぉ―――!!』



大きな声で叫ぶと、静雄が驚きながらコチラを振り向くのがわかった。……同じく他の生徒もみんな一斉に振り向いたけど。まぁ、いっか。



『静雄ー!誕生日、おめでとおー!』

「っ!?」

『静雄大好きー!』



…予想通りの、真っ赤な顔。
怒るかな?恥ずかしいって。でも、私のほうが数百倍恥ずかしいんだからね。



『静雄!』

「っおま、」

『生まれてきてくれて、ありがとう!』

「!?」



静雄は目を見開いて、コチラを見ている。そんな静雄に私はにっこり笑って大きく手を振ってあげた。








# HAPPY BIRTHDAY!


(僕もみょうじさんみたいに大胆にセルティに愛の告白をしてみようと思うんだけど、どうかな静雄くん!)

(っ、うるせぇ!)

(彼女、笑って手振ってるよ。行かないの?)

(行く。…来んなよ?)

(はは。行かないよ。後が怖いからね)



(っはぁー、恥ずかしいなぁ!……っえ、なんで静雄戻って来てるの!?わ、わ、どうしよう!隠れなきゃ!)





120128.
はっぴぃばぁすでい静雄




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