▼谷原



『マキー、みかんむいてー』

「俺もー」

「……むいてやんね」

『えぇー!なんでよ!』

「なんでよ!」

「兄ちゃんきめぇよ!」



なんで新年早々、こいつらのみかんむいてやらなきゃいけないんだよ!逆に俺がなんでだよって言いてぇよ!



『むぅ…自分でむくからいーもーん』

「最初からそうしろよ」

「あ、じゃあなまえちゃん俺のもむいてよー」

『いいですよー』



笑いながらみかんを手にするなまえ。…え?俺となまえ付き合ってんだよね?なんで兄ちゃんとそんな仲良しなんだよ?



『はいヨウジさん、あーん』

「あーん」

「!?」



なんだなんだこの風景は!?お前ら新婚かよっ!何が"あーん"だよ!



「うめー。なまえちゃんがむいてくれたからかな!」

『えへへー』

「………」



あれー?ちょっと俺空気ですか?何二人でラブラブしてんだよ?ちょっと、まじで俺となまえ付き合ってんだよね?



「どうしたマッキー、黙り込んで」

「…うっせ!」

「痛っ!?ちょ、お前リモコンは痛てぇって!」



いらついたから、手元にあったリモコンでぶん殴ってやった。



『マキ、お兄さんに手をあげないの!』

「いーんだよ、別に」

「…あのな、なまえちゃん。コイツ俺に妬いてん、痛ってぇ!?」

「まじで黙ってろよお前!?」



もう一発かましてやったら机に顔を突っ伏して、どこで育てかた間違えたんだかと言っていた。お前に育てられた覚えはねーよ。



『もー。新年早々マキは暴力的だね』

「………」

『妬いてるからって暴力はダメだよ』

「っ!?」



別に妬いてなんかねえ、と言おうとしたら口の中に何かを入れられた。



『ふふー。マキは可愛いねー』

「っ可愛くねぇ!」

「あらら。熱いねー二人とも」



みかんならいつでもむいてあげるよ、と言う言葉を聞きながら大人しく口の中のみかんを食べた。







#甘いみかんだった

(これからもよろしくね?)
(ん、)
(はー。俺も彼女欲しいわー)




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