▼臨也 『ねぇねぇ臨也ぁ』 「なに」 『年明けちゃうね』 「んー」 『臨也私に言う事は?』 「んー」 『…まぁ、まだいいけどさ』 全く。彼女をほっといていつまでパソコンと睨めっこしてるんだか。そうか。あいつはパソコンと一緒に年を越したいんですか、あぁそうですか。いいよ、私はみかん食べるし。 『………』 「あ、ねぇ。みかん食べるなら俺にもむいてよ」 『えぇ、自分でむきなよ』 「無理。手汚れる」 『うっわ。むかつく』 私の手は汚れてもいいってか。くそう。 そう思いながらもしっかりとみかんをむいてあげる私はなんて優しいんだろう。 『むけたよ』 「ん。口の中入れて」 『…自分で食べなよ』 「はやく」 『………。はい』 「んむ。うまい」 『随分大きい赤ちゃんだね』 「誰が」 『臨也』 臨也は一度笑ってからまた真剣な顔でパソコンと睨めっこ。 テレビでは、もうあと5分ですねー。なんて女の人が言っている。時計を見て早いなぁなんて思う。 『(年越しそば……ま、いっか)』 臨也食べないだろうし。私一人食べてもねー。臨也と付き合い始めて結構たつなぁ。高校のときだもんね。無言が続くと緊張してたのが、今は完全になれた。寧ろ心地好い。 『……私老けたのかな』 「なに?」 『や、私老けたのかなーって』 「そりゃ、年とってるんだから。俺もなまえも」 『悲しいー』 あ、カウントダウン始まった。ぼんやりと考えていると、臨也がカタと椅子から立ち上がってこちらへ歩いてくる。 〈5、〉 『終わったの?』 〈4、〉 「まぁね」 〈3、〉 『お疲れ』 〈2、〉 「ん、」 〈1…ハッピーニューイヤー!〉 キャー、なんて音と同時に唇が臨也のソレとぶつかる。 『?いざ、』 「ねぇ、なまえ」 『え…』 「結婚しようか」 にっこりと目の前で笑う彼に私は思い切り抱き着いた。 #あぁ、愛おしい (笑ってほしいんだけど?) (っ、だって…!) ×
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